テレパシークイズ




「ふあ…」

口から出かかった大きな欠伸を手で押さえ付けた。
けれど途中まで出たそれを完全に止めることはできず、何だか間抜けな声になってしまった。

それにしても眠い、眠すぎる。
窓際の席なので日当たり良好。
その上五限目の授業という眠気が一番ピークな環境だ。
途切れそうな意識を何とか保っているが先生の声が寝ろと言っている気がしてならない。
現にクラスメイトは何人か夢の彼方へ旅立っている。
気を紛らわそうとノートの隅に落書きしてみたり頬をかるくつねってみたりするが、どれも効果は今一つのようだ。


(ん?)


ふと後ろを振り返ると、斜め後ろの彼と目が合った。


(トウヤ、くん?)


トウヤくんはにこりと笑うと口パクで何かを話し始めた。
私は必死に解読しようとトウヤくんの口を見つめる。


『ね な い の?』


私は小さく頷く。


『ね む く な い?』


今度は横に首をふる。
トウヤくんが前を向いたので私もそれにならうと、先生が教科書を読みながら私とトウヤくんの列に近付いてきていた。
先生が通りすぎるのを待って、また後ろを向く。


『    』


またトウヤくんが口を動かす。
ええっと、



『す き … 』


カシャン



持っていたシャーペンを落とした音がしたけれど、両手は頬を押さえているので拾うことはできそうにない。





テレパシークイズ





(『すきだよ』なんて、)

企画『ピースオブケイク』さま提出


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