愛に生きる僕ら




「恋したことある?」

突然トウヤの口からかけられた言葉に理解が追い付かず、「は?」とほぼ無意識にこぼした。
それにトウヤは少しムッとした表情を浮かべて「だから、」少し強い口調で話す。

「恋したことある?」

また「は?」と言って怒らせたくはないので、私はうなって考える。


恋、ですか。
そりゃあ私もお年頃なので人を好きになったことくらいはありますが。


思ったことを口にすれば、トウヤはさらに眉をしかめた。
何でそんな不機嫌なの。

「誰」
「何が?」
「その好きなやつって」
「だ、誰だっていいじゃん」

睨み付けてると言っても過言ではないくらい凝視してくるトウヤに気まずさを感じて目を反らす。
するとトウヤは私の顔を両手で挟んで視線を合わせた。

「なまえ」
「う、」

顔が赤くなるのが分かるけど、がっちり挟まれて逃げられない。

「ト、」
「ん?」

かああああああ。
もうだめだ耐えられない!

ドンッとトウヤの体を押せば不意をつかれたのか尻餅をついた。
そんなトウヤをキッと見て半ば叫ぶように吐き捨てる。


「ト、トウヤが好きなんだからね!!」


トウヤが目を丸くする。
羞恥心とか色々なものに混乱して、とりあえずその場から逃げ出すことにした。





愛に生きる僕ら





(その三分後、追いかけられたトウヤに捕まった)


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