学校の教室にはクラネさんしかおらず、剣道場で見かけたという情報を頼りにそこへ向かう。
剣道場の前にはキコアさんだけでなく、

「あれ、セバスン?」

落ち込んだ表情のセバスンも一緒だった。

「君のロフトバードがいなくなったって聞いて僕なりに調べてみたんだけど、その話を聞いたセバスン君の様子が変だったんで問いつめてみたら・・・」
「ごめんねリンク!前から言わなくちゃって思ってたんだけど・・・ボクが言ったってバドに知られたら・・・」
「どういうこと?」
「彼はどうやらバド君に口止めされてたみたいなんだ。ほらっ、もう正直に言ってごらんよ」

セバスンくんは目を伏せて話し出す。

「ちょっと前にボクが食堂の掃除をしてたらバドたち3人がやってきて・・・ボクには気付かずに、リンクのロフトバードを隠しちゃおうって相談を始めたんだ。ボク、この事をリンクに知らせようと思って、食堂を抜け出そうとしたら・・・バドたちに見つかっちゃって・・・」
「・・・・」
「この事をリンクに話したら二度と鳥に乗れなくしてやる!って・・・」
「ひどい!どうしてそんなことを言うのかしら・・・」
「どうやらバド君たちは君の鳥を捕まえて、滝のあたりに隠す計画を立ててたらしいんだ」
「滝って・・・あの滝の裏の洞窟の事ですか?」
「ああ」
「ごめんよ〜リンク!ボクが弱虫なばっかりに・・・ほんとうにごめん」
「大丈夫だよ、セバスン。教えてくれてありがとう」
「それに、セバスンくんのせいじゃないでしょ?」

セバスンは弱弱しく頷いた。

「滝に行くのなら、あのあたりは最近ぶっそうな生き物が出るらしいから、剣くらい持って行ったほうがいいぞ。さっき剣道場に騎士長先生が入って行かれたから、剣を借りていったらどうだい?」
「そのほうがいいよリンク。それが理由でエルデおばあ様が洞窟に入れないようにしちゃったくらいだし・・・」
「ばば様が?」
「うん」

エルデは私の祖母だ。
スカイロフトでは割と顔が広く、街のみんなも「ばば様」と呼び一目置いた態度で接する。
けれど今は非常事態だ。
話せば分かってくれるはず。
私が頷くと、リンクはキコアさんに礼を言って剣道場へ入って行った。






滝の洞窟につくと、そこは柵で塞がれていた。

「!」
「どうしたの?リンク」
「奥に、僕のロフトバードがいる・・・そんな気がするんだ!」
「なら早くいかなくちゃ!」
「じゃあ、離れてて」

言われた通り数歩下がると、リンクが剣で柵を切り倒す。

「転ばないように気を付けて」
「うん、ありがとう」

柵の根本やでこぼこした岩に気を付けながら、リンクと洞窟の中に入って行った。



中は薄暗くて気を付けていないと本当に転んでしまいそうだった。
時々、魔物らしき声が洞窟の中を反射して聞こえる。
前を行くリンクが魔物を倒しながら進み、しばらくして洞窟を抜けると島の下側に出た。
さらに下へ続く道を進もうとすると、空から声が聞こえる。

「リンク!!ティエラ!!」
「ゼルダ!」

ゼルダがロフトバードに乗って近くに降り立つ。

「2人が滝のあたりに行ったって聞いて、空から捜していたの。どう?あなたのロフトバードは見つかった?」
「それがまだ・・・」
「そっか・・・。でもこの先はバドたちがよく遊んでた場所だって聞いたわ!行ってみましょう!」

歩き出そうとすると、ふとゼルダが訝しげな顔をする。

「・・・?」
「?どうかした?」
「だれ・・・??誰か呼んでる・・・?」
「ゼルダ?」
「あ・・・ごめんなさい・・・。さあ、行ってみましょう」

ゼルダは笑うと今度こそ歩き出した。





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