「あ、あれ」
「え?」
「バドたちだ」

ホーネル先生に事の次第を伝えた後、広場へと来た私たちの目に入ってきたのは見知った後ろ姿だった。
リンクと顔を見合わせて三人に近づく。

「しかしバドさん、意外とでこずっちゃいましたね」
「まあな、さすがに野郎はタフな体で有名な幻の紅族だからな・・・。けどよ、いくら奴でもそう簡単にはあそこから逃げ出せねえだろうぜ」

バドくんをマッサージしていたラスくんとオストくんがこちらに気付き、続いて立ち上がったバドくんがこちらを向いた。

「わわっ!リンクにティエラ?お、おめえらいつからそこに・・・?」
「今来たところだけど・・・」
「何の用だぁ?あぁわかった。今日は鳥乗りの儀だよな?優勝確実のバド様に「負けてくださいませんか?」と泣きつきに来たってわけだ。ゼルダと2人っきりの女神像での儀式、出たくて出たくて仕方ないのか、そうかそうか」

早口で捲し立てるバドくんはリンクの顔を覗き込む。

「残念ながらこのバド様の根性はおめえみたいにくさってねぇ。今日は堂々勝負といこうじゃねえか。・・・ってあれぇ?おめえの真赤なフライド・チキン、姿が見えねえようだけど?どうしちまったんだ?もしかして迷子にでもなっちまったのかなぁ?」

あれ?
バドくんのセリフに疑問を覚える。

「バドくん、なんでリンクのロフトバードがいなくなったって知ってるの?」
「それはモガッ」

オストくんが口を開こうとしたらラスくんに口を塞がれていた。

「・・・僕の鳥を返せ」
「あぁん?何の事だかわっかんねえなぁ?!」

バドくんは大げさに腕を広げてみせた。
そしてリンクに指を突き付ける。

「だいたいおめえは幼馴染って立場をいい事に、いっつもいっつもいっつもゼルダに構われて、チェラチャライチャラとふ抜けた姿を毎日毎日見せつけやがって・・・少しは規律ってモンを考えたらどうなんだ?あぁ?!おめえみたいなのがほまれ高いわが騎士学校の風紀を乱してんだよ!」

騎士学校に通っていない私に規律や風紀はわからないが、それにしたって言い過ぎではないのか。

「バドくん!」
「誰が風紀を乱してるですって?」

たしなめようと思ったら、いつの間にか仁王立ちのゼルダが後ろにいた。

「ゼ、ゼルダッ・・・い、いや・・・これは・・・」

ゼルダは私やリンクを押しのけてさっきバドくんがしたみたいに指を向ける。

「バド!あなたまたリンクにからんでるの?ティエラだって困らせて!わたし達は同じ騎士学校に通う仲間でしょう?どうしてリンクにばかりひどい事を言うの?」
「そ、それは・・・そのだな・・・」
「何?何なの?」
「・・・あのだな・・・」

なんだかバドくんの顔が赤い気がする。
熱でもあるのかな?
しかしすぐに頭を振ってそっぽを向いてしまう。

「な、何でもねえよ!じゃあなリンク!今日の儀式に参加できなけりゃ、課題クリアにはなんねえんだぜ!ご自慢の紅いのが見つからねえとヤバイんじゃねぇの?」

そういって三人はロフトバードに乗って空へ去って行く。
なぜかオストくんは私に手を振って行ったので、小さく振りかえしておいた。

「あの3人・・・もしかしたらリンクのロフトバードを・・・」
「え?」
「もしそうだとしてもあの様子じゃ素直に言いそうもないわね・・・。何とかしてわたし達で捜さないと・・・」

ゼルダはこっちを振り返る。

「リンク、ティエラ、わたしも空から捜してみるわ。鳥乗りの儀の開始時間は、お父様がホーネル先生に相談してくれて延ばしてもらえるどうだから安心して」

ゼルダも再びロフトバードで飛んで行った。

「ねえリンク」
「ん?」
「キコアさんなら鳥に詳しいから、何か知ってるかもしれないよ?」
「そうだね・・・聞きにいってみよう」

私達は学校へ向かった。







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