「ふうむ・・・黒き竜巻・・・。普通の嵐ではなさそうだな・・・」 ゲポラさんが手で顔を覆う。 ゼルダが、謎の黒い竜巻に巻き込まれてどこかへ飛ばされてしまった。 リンクは弾かれたように靴を履きなおそうとする。 「リンク!」 「まだ無理をしてはいかん」 リンクは苦い表情のままゆっくり靴から手を放した。 「・・・リンクにティエラ、ゼルダの様子だが・・・あの子はいつもと変わらぬようであったか?」 「・・・そういえば」 「ゼルダ、大地の話をしてたよね」 「うん。・・・僕も、最近何回も同じ夢を見るんです」 「ふむ・・・ゼルダが『大地』と言うておったか・・・そしてお前は同じ夢を何度もな。そうか・・・。大いなる使命・・・ううむ・・・」 「?」 「ゲポラさん?」 「いや、すまぬ。少し気になることがあっての・・・。しかしおそらく関係はなかろうて。ゼルダの事だが・・・。ロフトバードと共にあるのならば、きっと大丈夫であろう。どのみち夜の捜索は難しい。光が乏しく夜目では見つかるものも見つからぬ・・・」 ゲポラさんはそのまま部屋から出て行こうとして、扉の前で足を止める。 「二人とも、ゼルダは大丈夫だ。あの子は必ず生きておる・・・必ずな」 そして今度こそ本当に部屋を出て行った。 「リンク・・・」 「・・・・」 リンクは優しいから、きっとかなり責任を感じている。 それなのに私はろくに声をかけることもできない。 その時、 「・・・?」 「・・・何の音かしら?」 リンクの部屋の外から不思議な音が聞こえる。 万が一のためにリンクは剣を背負い、ゆっくりと部屋の外に出た。 二階へ続く階段に、青い・・・子供のような姿のものが浮いている。 リンクはそれを見て驚きの表情を浮かべた。 「あれ・・・!」 「え?」 「夢に出てきた・・・」 それは私たちと視線を合わせると、こちらを向いたままふわりと動き始めた。 「っ待て!」 「リンク!」 それを追いかけるリンクを、私は追いかけた。 |