淡雪のようにあなたの温度で溶かして消して下さい



今日は珍しく雪の勢いが弱い。
何かありそうだと洞窟の外の崖に近付く。
いつもは吹雪いて何も見えない景色も、ちらほらと様々な色を認識できた。

「レッド!」

突然影に覆われたと思ったら、チルタリスに乗ったなまえが上空で手を振っている。
雪が弱いのでここまで飛んで来れたようだ。

「久しぶり!レッド、元気にしてた?」

小さく頷くとなまえは満足そうに笑う。
そう言えば最後になまえと会ってからもうだいぶ日が経つ。
あれはグリーンと差し入れに来た日だったか、……ああ思い出したらモヤモヤしてきた。
よりにもよってグリーンなんかと一緒に来たなんて。

「レッドレッド!」
「…?」
「デートしない?」
「……は?」

何を突然言い出してるんだ。
と言うかデートって、え?

「タマムシにね、新しい雑貨屋さんができたの!レッドがよければ一緒に行かない?」

なまえは買い物が目的らしい。
しかしそれは、

「グリーンじゃなくていいの」

しまった。
言うつもりはなかったけれど、つい口からこぼれてしまった。

「……なんで?」

返ってきたのは本当に不思議そうな声。

「私はレッドと一緒に行きたいと思ったんだけど……あ、都合悪い?」

眉尻を下げたなまえを見ていると、さっきまでグリーンに嫉妬していたのが馬鹿らしく思えてきた。
理由がどうあれ、なまえは自分を選んでくれたわけなのだ。

「ううん。大丈夫」
「やった!」

笑顔で手を引くなまえに、自然と表情が緩んだ。




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