大輪の美しき花は、散り際にてそっと笑う
「なまえ」
「はい」
名前を呼べばすぐに返事が返ってくる。
指で敵を差すと恐れず立ち向かう。
何もしなくても勝手にワタシの盾になる。
見目もそう醜くはないし、頭も悪くない。
「なまえ」
「はい、ギラヒム様」
部下としては優秀。
ただ何か物足りなさを感じる点を除いては。
「申し、訳、ござい、ません。ギラヒム、様」
あの空から来た青年にやられたのだろう。
弱々しく紡ぐ言葉に覇気がない。
「………」
「どうぞ、私を捨て、て、お行き、ください…」
ああ、コレはワタシを理解し過ぎている。
けれど。
「…煩い。口を開くな」
とりあえず直すために魔力で浮かせる。
「ワタシの鞘がなんてザマだ」
この憤りはなまえに向けてのものなのかそれとも……。