イライラする。
一応言っておくが、俺は悪くない。
自分の恋人(しかも男)が他の男にベタベタしているのを見て言い合いにならないやつがいるのなら見てみたい。
グリーンが何かを言っていたが、かなりイラついていたため話の3分の1も聞こえてない。
しかし不思議なことに喧嘩というものはしてしまえば後悔するもので。
「はあ……」
ベッドの上で膝をかかえ、大げさに聞こえるだろうため息をついた。
なんであんなこと言ったんだとか、相手の言い分くらい聞けよとか。
まるで第三者のように自分を罵倒していると、部屋の扉が開く。
母親かと思って目を向けると、
「なまえ…」
そこにいたのはグリーンだった。
「グリ、え、?」
さっきまでのネガティブがそうさせているのか、グリーンの顔を見ると泣きたい気持ちになる。
グリーンは床に膝をついて俺より視線を低くすると、申し訳なさそうに眉尻を下げて言った。
「ごめん」
ごめん、なんて、言いたいのは俺のほうなのに。
「まさかなまえがそこまで……その、怒るとは思ってなかったんだ。自分の恋人が他人とベタベタしてたらそりゃムカつくよな」
慌てて首を横に振る。
「それはもちろん嫌だったけど、グリーンの話聞かずに怒鳴ったし……。俺もごめん」
ふとグリーンが投げ出していた手に触れてきた。
ぎゅっと握り返すと、グリーンは安心したように笑った。
後日、ベタベタしていた相手が幼なじみだと知って更に申し訳なくなったのは別の話。