フランキーに恋して

「なまえが好きだ。俺と付き合って欲しい」

ど う し て こ う な っ た。




















「なまえじゃあな!」
「おーまたなー」

友達に軽く手を挙げて下駄箱前で別れる。
委員会なんてよくやるよな……学生にとって貴重な放課後をくれてやるなんて俺には無理だ。

さて、今日は何をしようか。

考えながら下駄箱を開くと、なにやらメモらしきものが入っていた。
あれ、ここ俺の靴箱だよな?
二つ折りにされたそれには、


『放課後、第二校舎裏で』

と綺麗めな字で書かれていた。
さてここでの可能性は三つ。
いち、呼び出し、に、告白、さん、メモの入れ間違い。
……というか三番目以外はごめんこうむりたい。
一なんて身に覚えにないことで沈められるかもしれないし、二に至っては少々問題アリ。

俺が通うこの学校は右を向けど左を向けど男しかいない男子校である。
しかも校外での恋愛は校則で禁止。
そんな学校だからこそ男同士で、というのも少なくないようだ。

一応言っておくが、俺は男にそういう感情をもったことはないし、女の子としか付き合ったことがない。

だからといって無視して後々の問題になるのも嫌なので、とりあえず向かうことにしよう。














「あれ、グリーン?」

「!!」

校舎裏にいたのは同じクラスのグリーンだった。
声をかけると面白いくらいに驚いている。
他に人はいない。

「これって、グリーン?」
メモを示しながら問えば、グリーンは一瞬の間を挟んで頷いた。
俺は何かしただろうか。
グリーンとはクラスは同じだが特に仲がいいわけでもなく、会話も数回交わしたぐらいしか記憶にない。

相手が何か話すのを待っていると、グリーンは少し考える仕草をした後にこちらに向き直る。

「なまえ」
「ん?」



「なまえが好きだ。俺と付き合って欲しい」

「……え?」



まさかの展開だ。
まさか誰が告白(ましてや男から)されるとは思いもよらないだろう。
いや、しかしどうすればいいんだ。

「あー……一応確認するけどそれって、」
「もちろん下心的な意味で、だ」
「ああ、うん」

ですよねー、じゃなきゃこんな人気のないとこに呼び出したりしないもんな。
グリーンは少し居心地悪そうに頭をかく。

「なまえ、は…俺のこと嫌か?」
「いや、つーか…ほとんど話したこともないからそこは何とも言えないけど」
「けど?」
「お前の人当たりの良さは嫌いではない」
「!」

分かった。そう呟いたグリーンにがしりと肩を掴まれる。
ちょ、顔が近い!


「一ヶ月。一ヶ月試しに付き合ってみて、それでお前をオトせなかったら諦める」


そんなどうだ!みたいな顔されても…!
ああ、もう!

「分かった、分かったよ!」

だからとにかく放してくれ!

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