同じ時を過ごして、

「ふあ…」

何でこう式って名前がつくものは眠気を誘うんだろうか。
式の最中は何とか意識を保ってたものの、終わった後でも覚めることがない。
まあ自分たちの番になれば流石に寝ないだろうけど、と思ったところでグリーンが迎えに来た。

「悪い、なまえ」
「ん」

気にするなと意味を込めて曖昧な言葉で返す。
そう理解してくれてるとは到底思えないがまあ気にするほどのことじゃないな。



帰り道、まだ高い位置にある暖かい日の光を受けながらグリーンの横を歩く。
他愛ない話をしていたら急にグリーンが立ち止まった。

「どうした?」
「…なあ、なまえは進路どうするつもりなんだ?」

突然の話題に一瞬固まる。
進路って…いや確かに来年で学校は卒業だけどさ。
そう思った通りに返すとグリーンが言いにくそうに首の後ろに手を持っていった。

「俺、進学するつもりなんだ。研究者に憧れててさ」

その話は初めて聞いたが、なるほどグリーンにぴったりだと素直に思う。
と同時にもう進路を考えていたグリーンに尊敬の念を抱いた。

「んで、さ」
「? なんだよ?」

口ごもるグリーンの顔を覗き込む。
その顔はわずかに赤い。


「もし良かったら…卒業して、一緒に暮らさないかって思って」


グリーンの言葉に色々な思いが瞬時に頭をよぎる。
まだ卒業まで一年もあるとか、進路も決めてないのにとか、一緒に暮らすって…ええ?
頭が混乱したままグリーンに抱きしめられた。

「だめ、か?」

恐る恐る、といった響きの声音にさっきまでの混乱はみるみる治まる。
そうして笑いと共に出てきた答えは、

「しょうがねえなー」

と何とも可愛げの欠片もないものだった。
グリーンが嬉しそうに笑う。
が、ここが路上だったのを思いだし、少し照れた様子で俺の手を引いて帰り道を再び歩き出した。

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