06
 
ミラと共に部屋を出るとすでにアルヴィンの支度は終わっていた。
挨拶を交わしているとジュードもやってくる。

「早速だがジュード、これからのことで話がある」
「うん・・・」

どうやらまだこれからどうするか迷っているらしく、ジュードは俯いた。

「私はニ・アケリアに帰ろうと思っている」
「ニ・アケリア?ミラの住んでるところ?」
「正確には祀られている」

今朝のミラの話によると、ラフォート研究所に乗り込んだ際にクルスニクの槍と呼ばれる兵器を破壊しようとして、なぜか四大精霊が現れなくなってしまったらしい。
だから四大精霊を再召喚するためにニ・アケリアに帰るというのだ。

「そこでだ、ジュード。私とニ・アケリアに行かないか?」
「え?」

ミラの言葉にジュードが驚き、アルヴィンが関心した声を出す。

「へぇ。意外と考えてやってるのな」
「うむ。お前に、まるで他人事だと言われて少し反省をしてみた。フィオの言う通り、私にも責任が少なからずあるだろうしな」

ミラの言葉にふ、と笑みがこぼれる。
正直なところ、マクスウェルだと知って少し偏見のようなものを感じていたのだ。
しかしこうして諭せば話も聞いてくれるし、ただ人間が生きる上で学ぶ感情の機微を察する能力がないだけなのだろうと思う。
ジュードに視線を向けると、少し悩んだ末に顔を上げた。

「僕、一緒に行くよ」
「わかった。安心するといい」
「なら、ニ・アケリアまで一緒ね」

私の言葉にジュードが訝しげに首を傾げる。

「フィオもニ・アケリアに行くの?」
「イル・ファンでの話を聞いてミラと一緒に行くことにしたのよ」
「どうして?」
「私にも目的があって、ね」

まだ納得しきれてない様子だが、これ以上詮索されても答えるつもりはない。
同行すると言うアルヴィンに続いて外に出ようとしてジュードに呼び止められる。

「フィオ、・・・ありがとう」
「?どういたしまして」

何に対するお礼なのかは分からないが、ジュードは満足そうなので気にしないことにする。
ジュードに笑みを返し、一緒に宿のドアをくぐった。



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