05

翌朝、支度をしているミラの背中に言葉をかける。

「聞いてもいいかしら」
「何だ?」
「ラフォート研究所で何を見たの?」

その問い掛けにミラはぴたりと動きを止める。
そして警戒するように立ち上がった。

「何が目的だ?」

真意を量ろうとミラは真っ直ぐな目で射ぬいてくる。
でも私も引くわけにはいかない。
私にも目的があり、なさなければいけないことがある。

「・・・私の目的を話すわ」





ミラの口から発せられたのは想像を絶する話だった。

ラ・シュガルはラフォート研究所で黒匣という兵器の人体実験を行っているらしい。
その兵器はクルスニクの槍と呼ばれ、人からマナを強制的に吸いとる。
何よりも赦せないのは、国が守るべき民をその兵器の人体実験の材料としていることだ。

(ナハティガル王・・・)

国の研究所で行っていることだ。
おそらく王が指揮を執っているに違いない。
改めてなさなければならないことへの決心を固くし、ミラに手を差し出す。


「私と、手を組んで欲しい。私のなすべきことのために」


ミラは差し出した手と私の顔を交互に見つめ、少し逡巡するように目を閉じたかと思うと手を握り返してきた。



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