窓の外には煌々と輝く星空と夜空が広がっている。
イル・ファンは夜域の中にあるためいつでも暗く、街灯樹や光の花の明かりが幻想的な風景を見せている。
中でも一際目立つのは王の城でもあるオルダ宮だ。
広がる街を目に焼き付けるように見つめ、ゆっくりと息を吐く。
「・・・私は、私のなすべきことのために」
少し冷えた風が頬をかすめて髪を撫でる。
これは誓いだ。
ただなすべきことのために私は足を止めない。
大切な人を、守るためにも。
机の上のリングを手足に着けて音を立てないように窓を開ける。
(ごめんなさい、フェル)
心の中で呟いて、私は夜闇に身を投げ出した。