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もうすぐ樹海を抜けられるといったところで魔物に囲まれ、ハ・ミルで会った大男、ジャオが現れた。

「おっきいおじさん・・・」

エリーゼが不安そうな響きで言葉をこぼす。

「あなたは、ジャオさんですよね?」
「ん?お前たちには名乗っておらんはずだがのう」
「ハ・ミルの人たちにな。んで、どんなご用で?」
「知れたこと。さあ、娘っ子。村に戻ろう。少し目を離しているあいだにまさか村を出ておるとはのう。心配したぞ」

エリーゼは慌ててジュードの後ろに隠れる。
その行動でエリーゼが村に戻る気がないのは明白だ。

「あなたがエリーゼを放っておいて、どうなったと思ってるんですか」
「それを今更心配だからって連れ戻すなんて、少し都合がよすぎるんじゃないかしら」
「・・・すまんとは思っておる」

私たちの言葉を受けてジャオは本当に申し訳なさそうにしている。
が、だからといってエリーゼの気持ちをないがしろにしていい理由にはならない。

「お前は、エリーゼとどういう関係なんだ?」
「その子が以前いた場所を知っておる。彼女が育った場所だ」
「なら、彼女を故郷に連れて行ってくれるんですか?」

ジュードの問いに、ジャオは返さない。

「またハ・ミルに閉じ込めるつもり?」
「・・・お前たちには関係ないわい!さぁ、その子を渡してもらおう!」

ジュードと共にエリーゼの前に出て庇うように立つ。
ジャオは仕方ないと武器を構えた。
こんな幼い子を監禁することを許すだなんて、ア・ジュールはどうなっているんだと頭の片隅で思った。



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