17
 
ハ・ミルで村人から迫害されていた少女、エリーゼを加え私たちはカラハ・シャールへと向かっていた。
サマンガン街道で検問が行われていたため、サマンガン樹海を通っている最中である。
しかし、この空気は何とかならないものか。

「・・・・」
「・・・・」

喧嘩をしているわけではないが、ジュードとミラの間でエリーゼに対する態度について衝突が何度か起こっている。
間に挟まれたエリーゼが可哀そうだ。
そう思ってなるべくそばにいるけれど、さすがに雰囲気から守ってやることはできそうにない。

そんなことを思いながら進んでいると、突如背後から魔物が襲ってきた。

「うっ!」

ジュードが何とか反応をしてトレントの攻撃をいなす。

「こいつ、攻撃範囲が広い・・・。全員がダメージを喰らっちまうぞ」
「あなたの武器も、あまり効果はなさそうね・・・」
「やっかいだな」

トレントは体が大きく固いため、精霊術で退治するのが一般的だ。
構えている間も敵はじりじりとこちらににじり寄ってくる。
と、視界の隅でエリーゼが心配そうにこちらを伺っているのが見えた。

「あ・・・」
「エリーゼ、来ちゃダメだ!」

ジュードが叫んだ瞬間、魔物の長い腕によってその体が吹き飛ばされた。

「ジュード!」
「う・・・」
「言わんことではない!」

一か八か、戦うしかないか・・・!
その時エリーゼがジュードに泣きながら駆け寄る。
すると大きな魔法陣が足元に現れ、回復術の光が全員を照らした。

「これは・・・!」
「すごい。こんな広範囲の回復術が使えるなんて・・・」
「元気出して!ぼくたちがいるよー!」

ジュードが立ち上がり、エリーゼも手を引いて立ち上がらせる。

「エリーゼ、攻撃術は使える?」
「は、はい・・・」
「私たちが押さえている間にお願いできるかしら?」
「まっかせてよー!」

ティポとエリーゼに頷き、トレントに跳びかかった。



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