14
 
村に戻ると、アルヴィンが村の柱に寄りかかって待っていた。
身の振り方が決まったんだなという問いに、ジュードは二人についていくと返している。

「どういう心境の変化だよ・・・。後悔するんじゃないのか?」
「うーん・・・。でも、もう決めたんだ。ふたりの手伝いをするって」
「あっそ」

自分が聞いたくせに素っ気ない態度だ。
そう思いながら今度はミラとやりとりをしているのを眺める。
集会所に移動し、村の長老から謝礼を受け取るとアルヴィンは別れの言葉も少なく去って行った。

「・・・なんだかあっけないね」
「傭兵というものは、ああいうものなのかもしれんな」
「縁があればまた会えるわよ、きっと」

そこに今度はイバルがやってきた。

「ミラ様!またいずこかへ赴かれるのですか?」
「ああ。留守を頼む」
「自分も、ご一緒いたします!こんなどこの誰ともわからんヤツらに、ミラ様のお世話を任せられません!」
「イバル!お前の使命を言ってみろ」

良かれと思って言ったのだろうが、ミラには逆効果だったようだ。
きつい口調にイバルはたじろぐ。

「え、あ、自分の使命はミラ様のお世話をすること、です」
「それだけか?」
「・・・戦えない、ニ・アケリアの者を守ることです・・・」
「理解したか?私の旅の共はジュードとフィオが果たしてくれる。お前は、もうひとつの使命を果たすんだ」
「しかし、こいつのせいでミラ様は精霊たちを!」

イバルの言葉にミラは首を横に振る。

「それは私の落ち度だ。それどころか二人がいなければ、私はニ・アケリアに戻れなかったかもしれない」
「しかし!」
「なすべきことを持ちながら、それを放棄しようというのか?イバル」
「・・・いえ」

俯いてしまったイバルを放ったまま、ミラは集会所を出て行く。
可哀想だとは思うけれど、別に使命を持つならそれをなさなければならないのも事実。
イバルはミラの背中に声をかけていたが、ミラは一度も振り返ることはしなかった。



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