12
 
「到着だ」
「ここが・・・」
「へえ、意外と普通の村だな」
「あら、のどかでいいところだと思うわ」

ニ・アケリアは動物と人が暮らす穏やかな村だ。
精霊信仰が深いのが影響しているのか、家の形も独特だし道には模様のようなものが浮かんでいる。

「すまない、イバルはどこにいる?」
「ん?イバルならマクスウェル様を追って・・・マ、マクスウェル様?!」
「うむ、今戻った」

声をかけられた老人は驚き、拝むように跪く。
さらにミラの姿に気付いた他の村人たちも皆同じような体勢をとった。

「やっぱ、本物なんだよな」
「ええ・・・」

アルヴィンの呟きに思わず同意する。
かく言う私も半信半疑だったし、目的が合致し手を組むうえで関係ないと判断していたからだ。

「緊張するな。普段のとおりにしていればいい。・・・イバルは、今いないと言ったか?」
「は、はい!いつもより戻りが遅いと心配して・・・」
「そうか。相変わらず短気だな。手を止めさせてすまなかった」

老人にそう返して歩き出すミラについて行く。
これから社で四大精霊を再召喚する儀式を行う。
そのために、村に安置されている世精石が必要なため、それを運ぶのを手伝ってほしいそうだ。

「ジュード、すまない。君の件は儀式の後で村の者に頼む。もうしばらく待って欲しい」
「あ・・・うん」

歯切れの悪い返事に、どうやらジュードは悩んでいるらしいことを悟った。




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