ショコラの誘惑 ズシャアアア 彼女の最後のポケモンが地面に倒れた。 「お疲れ様、ゆっくり休んでね」そう言ってなまえは顔を上げた。 「やっぱりトウヤくんは強いなあ」 なまえは笑いながら近付いてくる。 (かわいい、な)思いながらトウヤは期待せずにはいられなかった。 なぜバレンタインになまえとバトルしているのかというと、昨日ライブキャスターを通じて約束したからだ。 わざわざこの日に会いたい(実際にはバトルしたい)なんて、そりゃあ期待もする。 「そうだ、トウヤくん」 「ん?」 他愛ない話をしていたらなまえが思い出したような声をあげると、ごそごそ鞄から出したものを差し出される。 「これ、…私が作ったやつだから口にあうかわかんないけど」 可愛くラッピングされた包みを受けとる。 うわ、実際に貰えるとうれしすぎる。 「ありがとう、開けてもいい?」 「え、あ、」 わたわたとなまえは慌てだす。 少しして小さな声で「…うん」と頷いた。 僅かに頬が赤い気がするのは俺の自惚れだろうか。 「あれ、?」 包みを開けると小さなカードが入っている。 「!!!」 目を見開くとなまえは顔を真っ赤にしてうつむいた。 え、これ夢? まさかこれほどまでは期待してなかった、けれど。 ショコラの誘惑 ("すきです"なんて)(つい俺まで赤くなってしまう!) |