コンフィズリー・キッス



「リンク」

「ん?もがっ」


なまえに呼ばれて振り向けば、口に何かを突っ込まれた。
甘い香りが口内に広がる。これは、


「チョコ?」


もごもごと口を動かしながら言うと、なまえは呆れたようなため息をつく。

「今日はバレンタインでしょ」
「あ、」

そういえばそんな季節か。
旅の間に日付感覚が狂ってしまったのでそんなことちっとも気付かなかった。
なまえの家に来たのもたまたまだし。


「で?」

「?」

「お味は?」


ごくり、溶けたチョコを呑み込む。


「おいしいよ!すっごくね!」

「…そ、ならよかった」


なまえはすこし照れたように笑った。
その表情を見ていると、こっちも暖かい気持ちになる。
自然と笑みがこぼれた。

「お返し、何がいい?」

「え?うーん…」

え?って、返ってくると思ってなかったのか。
確かにバレンタインの存在を忘れてたけれど、その日の習慣を忘れた訳じゃあない。


「じゃあ、デートして?」

「え、そんなことでいいの」

「うん」


もっと何か欲しいものがあるんじゃないのか。
そう思ったけれど、なまえは笑った。


「リンクが世界のために毎日頑張ってるのは分かってるわ。だから、その世界のための一日を私のために頂戴?」


なんという殺し文句。
まったく、彼女には頭が上がらない。

「わかった。絶対帰ってくるよ」

「約束ね?」

嬉しそうに微笑んだなまえを優しく抱き締めた。










コンフィズリー・キッス










(ね、ちゅうしていい?)


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