「あ」
「?」
「雨が降るよ」
リンクはソファーで寝そべっていた体をがばりと起こした。
「雨?こんなに晴れてるのに?」
なまえは読んでいた本を閉じ、窓ごしに空を見る。
目を細めるほどまぶしく太陽が照っていた。
「だって雨の匂いがする」
「匂い?」
くんくん。
匂いを嗅いでみても特に気になる匂いはない。
訝しげな表情をするとリンクが少し慌ただしく部屋を出て行った。
盾と剣は壁に立て掛けたままなのでまた戻ってくるのだろう。
少ししたら大量の布を持って……よく見ればそれは外に干していた洗濯物だった。
リンクがテーブルにそれを置いて窓際に立つ。
すると、
ポツ、ポツ
「ほら」
雨が降りだした。
なまえもリンクの隣に立ち、いつの間にか曇っていた空を見上げる。
「ほんとだ…さっきまであんなに晴れてたのに」
「言っただろ?」
リンクは少し誇らしげに笑った。
「でもなんで分かったの?」
「ん?だから匂いがしたんだって」
「……そう」
私には分からないけど。
そう思ったが心にとどめておく。
リンクが「んー」と伸びをするのを見て、不意になまえは閃いた。
「リンク、出掛けよう」
「え、今から?」
「今から」
リンクがぱちぱちとまばたきをする。
「雨が降ってるよ?」
「そうよ?だから」
なまえはリンクの手を引いた。
「一本の傘でね!」
レイニイデイ
(一緒に時間を過ごすのに二本も必要ないでしょ?)