カチャカチャと音をたてて食器を洗っていると、後ろから間延びした声。

「なあなあなまえ」
「なにー?」
「いっしょに風呂入っ」

私は悪くない。
たとえ私が投げた食器洗い用のスポンジのせいでリンクの顔が泡だらけになったとしても、私は悪くない。

「げほっ、うええ口の中に入ったぞ!」
「自業自得だこのやろう」
「女の子がやろうなんて言うなよ」
「残念だったねがさつな女で!」

絶対に今顔が赤いから後ろは振り向けない。
しかしそんな言い合いをしていると、


にゅっ

「なあー」
「うわあ!」


視界の横からはえてきた腕に体の自由を奪われた。
言い合いに夢中で気がつかなかった、しかし気付いたところですでに遅い。
じたばたとおよそ無駄であろう抵抗をしてみるが、やはり普段から剣を振るっている腕はびくともしなかった。

「ちょ、っと!」
「いっしょに風呂入ろー?」
「入らない!から!」
「なんで」

なんでって。
確かに私たちは世間一般的に恋人と呼ばれる関係だしぶっちゃけてしまえばいくとこまでいってしまっている。
だけどそれとこれとは関係なしに、

「恥ずかしいじゃんか!!」
「えーいまさら?」
「いまさらじゃない恥ずかしいもんは恥ずかしいの!」

どうにか逃げられないかと考えていると、リンクはぱっと腕を離した。
やっと諦めたかと思った瞬間。


「よっ」
「ぎゃあ!」


わらを担ぐかのように肩に担がれ、本日二度目の叫び。

「ちょ、おろせ!!」
「風呂ついたらなー」

ぎゃあぎゃあ騒ぐ私とは対して鼻歌でも歌いそうな様子のリンクに、半分諦めを込めてばしっ!と頭を叩いた。
ああ、明日は腰痛かな。










それを愛と云う










(こら当然のように胸を揉むな!!)(えー?)