「これでっ…!」

なまえはブン、と大きく武器を振りかぶる。

「最後っ!!」

降り下ろした先にいた魔物は奇声をあげて倒れた。
そのままの勢いでなまえは地面に倒れるように座り込む。
荒い息と鼓動をととのえていると、背後でパチンと剣を納める音がした。

「はは…さすがに今回は死ぬかと思ったよ」

リンクは苦笑を浮かべてなまえの横に立つ。
お互いに服も体もボロボロだ。

「ほんとにっ、あり得ない!」
「すごい数だったなー」

リンクの間延びした声に、なまえはため息をついて足をなげ出した。
傷や破れた服を見て再びため息をつきたい気持ちになる。


「……………」


するとリンクの気配が揺れたのが分かった。
なまえが顔を向けると、リンクは片手で顔を覆いうつむいている。

「リンク?そんなに疲れてるなら座ったら?」
「あー、あのさなまえ」
「ん?」

あーだのうーだの唸っていると思えば、リンクはなまえの伸ばした片足を跨いで目の前にしゃがむ。

「人間て戦場に立つと子孫を残そうとする本能が働くんだって」
「はあ」
「だから、さ」

リンクがなまえの破れた服からあらわになっている足をツゥ、と指でなぞる。


「すごくエッチなことがシたくなるんだって」


リンクがそう言うのと、なまえがビクリと体を震わせたのは同時だった。

「なん、なっ…!」

なまえは顔を赤く染めてどもった声を出す。
その間にもリンクの手はするするとなまえの足を撫でている。
そしてそれは段々と上の方に向かっていた。



「だからさ、…シない?」



リンクが耳元で囁いた言葉に、なまえは顔を真っ赤にしたまま眉をつり上げた。



「だからってこんなとこで盛るなこの万年発情勇者ああああ!!!!」



黄昏時のハイラル平原になまえの声と鈍い音が響いた。










本能は紙一重










(ぐっ…なにも脇腹蹴らなくても…!)(うるさいもう信じらんないばか!)