コンクリートで固まった地面を、自転車で滑走する。
ところどころから蝉の泣き声が聞こえてきて、蝉には悪いが不愉快さしか感じなかった。
けれど目の前に見える、自転車をこぐ自分より広い背中を見つめていると不思議とその不愉快さは消えてしまうのだ。

リンクの腰に回した腕は彼の揺れる背と一緒に左右に動き、その背がわずかに汗をかいているのがわかる。
自分も同じように汗をかいていた。
はたしてそれが夏の暑さのせいなのか、好きな人との距離がものすごく近いからなのかはボーっとした頭では考える余裕がない。


「リンクー」


間延びしたような声で呼べば「んー?」と似たような様子の声が前からかえってくる。

「あつーい」
「おま、それは言わない約束だろ俺だってあつい」
「リンクのうちクーラーきいてる?」
「誰もいないのにきいてたら怖えよ」

うええええ、となまえがうめき声のようなものをあげると、

「あーもーうちについたらクーラー入れてやるから!俺もあついし」

リンクは少し後ろに顔を向けて言った。

「やた!はやく行こー!」
「こいでるのは俺だけどな」
「あ、でもコンビニ寄って!アイス食べたい」
「はいはい」

仕方ないなーというようにリンクは返事を返すと、ペダルをこぐ力を強めた。










青春とは










(クーラー涼しー)(あ、このアイス旨い)(えー!一口ちょうだい!)(ん)