「………ん」
寝苦しさを感じてなまえは重たい目蓋を開いた。
その視界いっぱいに広がるのは肌色。
(……………暑い)
夏の熱に、何も纏っていない肌が汗をかいて少しベタついている。
布団もかなり薄手のものが身体にかかっているが、無意識のうちに足や肩をさらけ出したようだ。
なまえは頭を少し上に向ける。
そこには自分と同じく何も纏っていない肌に少し汗をかきながらも、なまえを抱き締めて眠るリンクの顔があった。
暑いなら抱き締めなければいいのに、とぼんやり思いながらなまえは壁の高い位置にある窓の外を見る。
朝と言うには少し薄暗く、まだ起きるには早い時間だ。
しかしこのじとっとした暑さとベタついた肌のままもう一度寝れる気がしない。
ならばもういっそ起きていよう、とごそごそ動き出した。
リンクを起こさないようにゆっくり、なるべく動かさないようにそのたくましい腕から這い出て床を見回す。
あたりには二人の服が散らばっているが、下着やらを一から着ることを考えたらすごく、
(…めんどくさい)
ので落ちていたリンクのシャツを拝借した。
(ぶかぶか…)
半袖のはずなのに腕の関節が隠れるし、太ももの真ん中あたりに裾がくる。
なんだかそれに心が少し疼いたが、渇いた喉を潤そうと台所に近付いた。
ミルクの入ったビンを手に取りグラスに注ごうとしたら。
「っわ!」
ボーッとしていて少しこぼしてしまった。
それはリンクのシャツにもかかりなまえの足を伝って床に垂れる。
(布巾、布巾!)
台所の布巾を取って床に膝を着いたら、
「んん……なまえ…?」
リンクが起きてしまった。
「ごめん起こした?」
「んー………」
ごしごしと目を擦っていたリンクと目が合うと、リンクがはっと息を飲んだ。
「?リンク?」
「………」
問いかけてもいまだリンクはなまえを見つめ続ける。
なまえは床をさっと拭うとリンクに近付いた。
「リンク?どうかした?」
「それ……」
それ、と言ってリンクはなまえの身体を指さす。
「ああシャツ?ごめんねちょっとミルクこぼしちゃった…」
「…………」
ふい、とリンクはうつ向いた。
怒っているのかと思いリンクの顔を覗こうとしたら。
「う、わっ!!」
勢いよく腕を引かれ、ボフッとベッドに倒された。
目を開けばリンクと天井。
「っな……!」
「なまえが悪い」
「なにがっ…んんっ」
抗議の声はリンクの口に飲まれてしまった。
くらり、
(夏の気だるい暑さと)(互いの熱にやられた)