リンクの目には何も纏わず、肩で息をするなまえが映っていた。
なまえの顔や体は熱を持ってほの赤く染まり、潤んだ瞳のふちには今にも溢れそうな涙がたまっている。

それだけで息が詰まりそうになったが、するりとなまえの腕が同じく何も纏っていないリンクの首に絡みついた。
そして物欲しげな顔で見つめてくるなまえに固唾を飲み、やけに艶めいて見える唇に自分のそれを重ね―――












「――ッ!!!!」

ようとしてリンクは勢いよく目を覚ました。
身体中が火照り僅かに汗をかいているだけでなく、


「………最悪だろ…俺…」


下着の、ちょうど股のところにぬるっとした感触を感じて手で顔を覆った。
指の隙間から天井が見える。

(…そうだ、おとといから城下町の宿に泊まってたんだ)

そして寝そべったまま窓を見れば、朝というには少し遅い時間なのが太陽の昇った具合で理解できた。


「はああ…」


ため息をつき、とりあえずシャワーを浴びようとのそのそと起き上がった。













「リンク、おはよう」

宿の受付に降りれば、宿泊帳簿をチェックしているなまえに笑って挨拶された。


なまえはこの城下町の宿屋の娘で、リンクがこの宿に初めて訪れた時に一目惚れし、色々あって男女のお付き合いをすることができている。
とは言っても今朝の夢のようなことはなく、まだ純なお付き合いだ。




「おはようなまえ」
「今日は遅かったね?そんなに疲れてたの?」
「はは…ちょっとね…」

リンクが苦笑いで返すとなまえは頭に?を浮かべた。

「朝ごはん食べるでしょ?ちょっと待っててね」

そう言って食堂に消えたなまえをリンクは少し複雑な気持ちで追いかけた。















「……よし」

夜、リンクは宿の部屋のベッドの上で地図を広げていた。
テルマの酒場でやっと欲しい情報が手に入ったのだ。
旅に入り用な物は今日中に揃えたし、明日には城下町を出られるだろう。
しかし、

(仕方ない…よなあ…)

またしばらくなまえとは会えそうにない。
そう考えると憂鬱になる一方だった。

ため息をついて地図を手荷物の中にしまい込んだその時、


コン、コン


少し控え目に扉のノックの音が響いた。
リンクが扉を少し開けると。


「なまえ?」

なまえが小さなカンテラを持ってそこにいた。
こんな時間だからか、寝間着を着ている。
リンクはとりあえずなまえを部屋に入れた。

「こんな時間にごめんねリンク」
「いいけど…どうかした?」
「うん……」

なまえがベッドのふちにちょこんと腰かけたのでリンクも隣に座る。
二人分の重みでベッドがキシ、と軋んだ。

「あ、明日…もう行っちゃうんだよね…?」
「うん…そのつもり」

なまえは「聞きたいことがあるんだけど」と顔を赤らめ、口をモゴモゴとさせる。

「なまえ?」
「………あの、さ…!」

なまえは顔をうつ向けか細い声で、



「リンク、いつになったら手出してくれるの…?」



その瞬間リンクは羞恥から部屋を出ようと駆け出そうとしたなまえの腕を掴み、ベッドに投げ出すと覆い被さった。

(ああ、しばらくは純なお付き合いかなと思ってたけど)

その考えを服と共に投げ捨て、なまえの唇に噛み付いた。











理性は如何?











(そんなものはハイリア湖に棄ててきた)