外は見事なまでの雨。
少し風も吹いていて、窓に雨が叩きつけられる音が部屋に響く。
なまえはため息をついた。
こうも降られては洗濯物も乾かないし、買い物にも行けない。
そのことを除いても雨が降っているというだけでなんだか憂鬱な気分になる。
「………」
彼はちゃんとどこかで雨宿りをしているだろうか。
いくら旅をしている身とは言え、風邪などにかかってしまったら……。
「はぁ…」
なまえはもう一度ため息をついた。
暖炉の近くに干した洗濯物はもう乾いただろうかと立ち上がる。
すると、
ガチャッ
玄関の扉が開いて中に人が入ってきた。
困ったように笑うその人物ととんでもない姿になまえは驚愕した。
「久しぶり、なまえ」
「な…にしてんのリンク!」
頭から体からぼたぼたと水をこぼし、床に水溜まりをつくる。
そんな、まさしくバケツをひっくり返したような表現がぴったりなリンクの腕を掴むと、暖炉の前に座らせた。
そして近くに干していた大きなタオルをひっ掴む。
リンクの後ろに膝立ち、頭に張り付いている帽子をとるとガシガシと髪を拭き始めた。
「いて、ちょ、なまえ」
「うるさいわねそんな格好でふらついてたリンクが悪いんじゃない!」
少し叱るような口調で言うとリンクは言葉をつまらせた。
「もう、なんでこんな雨の中来たの!」
「早くなまえに会いたくって…」
リンクの言葉に一瞬動きが止まる。
面と向かって言われた訳ではないけれど、絶対今私の顔は赤いに違いない。
まぎらわすようにリンクの頭をぺちっと叩いた。
「いたっ」
「風邪でもひいたらどうするの!」
「ごめん」
苦笑まじりの謝罪にため息をつく。
いったい一日でどれだけため息をついただろうか。
それでも彼がこうして雨の中でも会いに来てくれるのはすごく嬉しくて。
後ろを振り向きかけたリンクの頬に唇で触れた。
雨をねだる
(それでも私は心配なのよ)