窓の外からはかすかな鳥のさえずりが聞こえてくる。
太陽の柔らかな光が室内に降り注いでいた。
ソファーに深く腰掛け、隣に触れる温もりに身を寄せる。
温もりがくすぐったそうに喉を鳴らし、私の手を握った。
私もほぼ無意識に握られた手に指を絡めた。
私の指とリンクの指がじゃれあう。
「くすぐったい」
笑みを含んだ声で言えば、手が離れ私はリンクの膝の上に引き寄せられた。
リンクは再び指を絡める。
まるで世界から切り取られたような、いいやまるで世界に私たち二人だけしか存在しないような気分がしてくる。
つまり私たち二人だけの世界。
「……ふふ」
なんだかとても心が疼いてもどかしい。
小さく笑みをこぼしてリンクの胸に体を寄り掛からせれば、リンクは穏やかな顔をしながらも疑問の声をあげた。
「なまえ?」
「なあにリンク?」
とぼけたように応えれば、仕返しのつもりなのか絡めた指にキスをされる。
私はくすぐったくて体をよじらせた。
「あのね」
「うん」
「まるで私たち二人だけの世界みたいだなあって思ったの」
「うん」
リンクはちゅっ、と軽いリップ音を鳴らして次は額にキスをした。
「もし二人だけの世界なら、リンクは王様ね」
「じゃあなまえはお姫様?」
「ううん。リンクが王様なら私は奴隷でいい」
「どうして?」
「だってね」
少し顔を上げるとリンクの顔がすごく近くにあった。
「私が奴隷なら革命なんて起こらないから、リンクも私もずっと安心して暮らせるのよ」
リンクは少し目を見開くと、私の頭に頬を寄せる。
「なら俺ははやくなまえを迎えに行かなきゃな。勇者の肩書きとか、マスターソードなんていらないから」
そう言ってリンクは私の唇にキスをした。
ユートピア
(僕らだけの国)(それ以外はなにもいらないのに)