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「………シロナさん、話を進めましょう?先にお話ししなきゃいけないことは、沢山あるんですし」
「…………」

お…

驚いたな…。

ヒカリがこのように、例え言葉の端であれ誰かに向けて言葉を荒げる姿など全く想像もしなかったものだから、随分と驚いた。


「…そうね。」

ブロンドの……シロナ女史も、今回は素直に首を縦に振ると、組み合わせた手のひらに顔を当てて沈黙に戻る姿勢だ。

それを境に、多少浮わついた空気のあった会場が一転、緊張感漂うものに様変わりして……自らが招き寄せたことだとは言え少々気後れは禁じ得ない。


「アンちゃん」
「どうしたヒカリ」
「………驚かないで、聞いて欲しいんだけど。」
「なんだ」


驚くも驚かないも、聞いてみないことには分からないだろうに。
おかしな事を言う。


「……アンちゃんの服。の、内ポケットの奥。」
「…んん?なんだ、いきなり」

「……に、実は、発信器が取り付けてあります」

「…………………あ、ああん?」

ああん?
発信器?


「…………それは本当か?」
「それがなかったら助けに行けなかったね」
「ああ、それで」

それで私達の場所が分かったのか…って、

「何故だ」
「……………」
「いったい全体どうしてそんな…」

意味がわからない。
取り付けるとしたら、服を買って貰った時か?確かにはじめから取り付けるのが目的だったなら服を買うことなんて絶好のチャンスだったろうけれど…


「それについては私から話しましょう」

口を開いたのはサターンさんだ。つまり…理由はそのままこの会場に関係することだと言うことか。


「さて、まず始めに大まかにですがここにいる面子の紹介をさせて頂きます。アンさんも、何処の誰とも知れぬ相手に囲まれ話しかけられるのは本意ではないでしょうし」

彼は椅子を引くと、立ち上がりその白い手をぱん、と一打ち。

「まず、私。名前はサターン、見ての通り、男です。少し前まで………―――ギンガグループの代表取締役をさせて頂いておりました」
「……。は…」

代表取締役…つまり社長、ということ…だろうか…。いや会長?
良く分からないが…それを言って何が言いたいのか…。社長ですか、凄いですねと言ってもらいたい訳では無いだろうし……
まて。
ギンガグループ……

「……ギンガ……と?」
「そうですね。六年前であれば、ギンガ団と名乗っていましたし…今はそう、ネオギャラクティカとか言う地下組織を組み立てて何やら画策しているとも」
「…………」

つまり…直の、実験を行っていた…総元締め…ということか?

「……そう剣呑な顔をしないで下さい。あくまでも、元代表取締役であって、今となっては無職のしがないホームレスです」
「…………」
「アンちゃん、大丈夫だよ、サターンさんは信頼できる人だから」


そうは言われても、彼等に手痛い目に合わせられたばかりで、そんな言葉をやすやすと信じられる訳もない。
そう、それこそ―――下手をしたら、死んでしまっていたような、あんな状況を体験したのなら余計にだ。

「警戒されてしまいましたか。……まあ妥当な判断でしょう。次に、……譲。」
「は、はいっ!」

ゆずる、と呼ばれた声に反応して立ち上がったのは一人の青年。
私やヒカリと同じぐらい、だろうか?幼げかつ気弱そうな顔を引き締めて、目があった私に勢い良く頭を下げた。

「彼は…ああ見えて、国際警察のものです。今日は相棒の方は見えて居られませんが…」
「…待て。国際警察…?」
「はいっ!今回、リーグの皆さんへお力添えをするようにとの命令を受けていますっ!」
「ははあ……」

国際警察…そのような組織まで動いているとなると、とてつもない大事が関係しているのだろう。
それこそ、何故私がここに呼ばれたのかさっぱりわからない。



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