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「ん……まてよ…確かアンちゃんって……だから……たのは……」
「く、クロ…?」
「……そうか、直。」

ん?
直が、どうしたって?

「あーーーそっかぁ、まあそれならしょうがないかあ。そういう考え方になっても。」
「あの…クロ?」
「あっごめんねアンちゃん、ううん、どこから説明したらいいかな…」

さっぱり訳がわからずただ言葉を待つことしか出来ない私に対して、クロは言葉を選ぶように声を吃らせるばかりで、それがどうしてか焦らされているようで妙な不安に駆られてしまう。
ただでさえ自分が間違っている事を告げられるのはバツが悪いのに、しかもそれが大層なことだとあっては。


「……そうだな。アンちゃんは、ポケモンは人間に捕まえられたら絶対服従を強いられ、またボールという強制力によりポケモンは逆らうことも出来ない、だから人間を敵対視しているポケモンが殆どだ――と、そんな風に思って、いる?」
「まあ。それにそれだけではなく、人間側は薬をー…ああ、この話はクロは知らなかったか?」
「ん?」

働かされていたとはあっても、雇われの下っ端ではその概要は殆ど聞かされていないだろう。
あまり人に言い触らすような話ではないが、直や私の状況に関することは伝えるという約束を広間でしたことを思い出した。丁度いい。


「擬人化を強制する薬のようなものを悪用し、…いや…薬だから乱用か。薬物乱用にり無理に力を抑えられ、そのために障害が現れるポケモンがここ数年増えているという話も聞いた」
「………」
「そして事実、直はその実験態として扱われていた」
「………」
「後遺症は、体調不良以外にはないとは、ジョーイさんが言っていたけれど」


そこで顔の前で組まれたクロの親指がぴくりと動いた。なにかが琴線に触れたのだろう。


「……なるほど。」
「その実験態であった直の脱走現場にたまたま居合わせたところで二人で施設を抜け出し、からがらセンターに飛び込んだ、というのがお前に会うまでの状況だ」
「うん?意外と短い付き合いなんだね。」
「そうだな」


もっと前から一緒に居たのかと思った。
一つ、やけに空虚(に聞こえた?)な呟きを一言置くと、切り替えるように顔を持ち上げる。

「よくわかったよ。まあ確かに、そんな中にあったら多少見方が偏っちゃうって言うのもわかるかな。直ちゃん妙に誰に対してもツンケンしてるなあとは思ってたけど、ふうん…」
「……つまり、私の見方は一般的に見てかなり穿った見方であると?」
「まあ、そう、なるのかな。」


‐アンちゃんってもしかして、ポケモン至上主義だったりする?‐


先程のクロの言葉を思い出す。


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