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白い。
白い。

白い。


そう、病室なんてのは、どこの世界でもおよそ似たような作りになるようで。
こちらに来てからお世話になりっぱなしのこの施設も、例に違わず四方は白い色で塗りつぶされ、朝の日差しがそこに加わると若干眩しいぐらいですらある。

お世話になりっぱなしと言っても──直と出会った一日目、クロと出会った二日目、それから休養期間として三、四、五──ああ、いや、やっぱりずいぶんとお世話になってしまっているみたいだ。
実際期間もっと短いつもりでいたのだけれど、これでは随分と長い期間お世話になっていた事になる。


ああ、清々しい景色だ。
清潔感溢れる、宜しい景色だ──………


「杏。」
「……………」
「……もう一度だけ聞いてやる。ど・う・し・て・こうなった」

ドスの効かせた声で、こちらをねめつける直。

「まあ、こわあい。」

隣で呟いたクロに、ベッドで身を起こしている直が、ぴくりと眉尻を上げた。
それを意にも介さず、あらやだと微笑するクロ。その笑いは、どこか挑発的な笑みで…私は、その嫌な雰囲気に、再び現実逃避に浸り始める。

あー、清々しいなあー……白は良いなあー……。

「………………。」
「…………いひゃいいひゃいいひゃい!」
「さっさと質問に答えろ。言ったな、どうしてそんな結論になったのか答えろと」

痺れを切らした直の掌がにゅっ!と伸びて私の顔を一掴み。
ギリギリギリと頬を握り締めた痛みに思わず声を上げ、る。
ああもう、だから気が進まなかったんだ、絶対にこうやって嫌がるから……!

自分としても言い出しずらいことだったこともあって、何も言えずにただ握られていた頬に、不意にやんわりとした暖かさが触れる。


「……だからさあ、俺も君達と行動するって言ってんじゃん」

その暖かさは呆気に取られた私から直の手をゆっくりと、引き剥がす。

「……たった、それだけのこともわかんねぇの?直ちゃん。」

笑う。
あるいは、嘲るように。


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