それからと言うものの、いつものように他愛もない話をしたり、一緒に昼飯食ったり、宿題なんかのやり取りも全部と言っていいほど無くなった。
園でだって避けられててあの晴兄にすら心配された。相談すりゃあよかった。一応大人なんだからかう以外だってしてくれるだろう、けどこっぱずかしかったし、フラれたらネタにされる…だろうし。たえらんねえ。
とりあえず避けられまくってることに気づいていながら普段通りに、なんて空気読めねえ訳でもない。
天馬くんに「ねえ狩屋、名字となんかあったの?」聞かれたって別段話す気も起きるわけもない。

「別に、なんも」
「何にもないわけないだろ、最近一緒に居ないよね」

そう言って俺の前の席に座る。その心配そうな顔とかマジ今はいつもよか何倍もムカつく。けどキレる元気もなんもねえ。俺はとりあえず話の続けたそうな天馬くんの方に向き直る。

「狩屋も名字もなんかどっかいつもと違うんだよね、最近さ」
「関係ないって」
「いや、今のままじゃいけないと思うよ」

そう言って立ち上がる時に天馬くんは俺の机の上に器用に折ったノートの切れ端を置いてった。

「なに、コレ」
「預かりものだよ!狩屋にって」

そう言った天馬くんが微笑んだのを見逃さなかった。俺に、じゃなくて名前に。ああ、これは名前からなのか。これを読んだら全てが変わる気がした。良くも悪くも、本当に。





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テーマ「人外ファンタジー」
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