※NOT夢



「俺に、関わるな」

意識的にも無意識的にも見ることがかなわない霧野の目を、痛いくらい感じて背を向けた。ひどく悲しんでいるだろうか、俺に失望しただろうか、怒りを覚えただろうか。同時に歩くことも同じくかなわなかった。左手をぐっとひかれてさながら進ませない、と無言で言われているかのように。
仕方なくぐるりと後ろを向けば「…神童」予想していたどれともちがう声色。わかったように、いつも、何もかも見透かしたようなこんな時の霧野は避けたがる、俺の脳が。頭を見られているような、いやだいやだ。

「そんなこと、言うな」

深く握手をするように握られた左手が揺れる。霧野らしくもない、ぎりぎりと、離したら赤くなっていそうな程にはきつく、その場に止められている。

「俺に…サッカーに…関わらないでくれ、頼むから」

我ながら情けないすがり付くみたいな声、自虐の念が襲って擦り付けるみたいに「迷惑だ」蚊よろしく小さな声で聞こえなければいい聞こえたらいいと下を向けば堪えかねてじんと熱くなる目頭に余計に嫌になる。
ふっと笑いだした霧野に、終りだ、俺はそう思った。俺には何も出来ないそれに気付かれた呆れられたそのはずなのに「なあ神童」言葉がひどく優しいのは。

「お前が初めて霧野って呼んだ時のこと覚えてるか?」
「……?」
「チームを率いるものが個人とだけ親しげにしていたらダメだ、そう言ってたよな」
「…ああ」
「その時にさ、お前は立派なキャプテンだって思ったよ。それは今も変わらない」

顔を上げて霧野を見やれば「まあ名前で呼ばれないのはちょっと寂しいけどな」そう心地よく笑った。




放送開始してから書いたはいいけど載せる場所がなかったやつ




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