一日中まだかまだかって名前からのチョコを待ってついに帰り道。いつもみたいに名前の家まで送る道。もしかして忘れてる?って疑い始めたころ「寒いからお家でチョコ食べよう」って申し出があってドキっとした。名前の家…親御さんとかって迷ってたら「今日おかあさんたち遅いの。だからね」って押しきられて玄関に足を踏み入れることになった。
嬉しいけど、名前から貰ったチョコを今日は家でずっと眺めてようって思ってたから少し複雑、だな。



律儀に手を洗わせられて、部屋へと招かれる。初めて入る名前の部屋は女の子らしいピンクと白を基調としていて、テディベアとか可愛らしいものがいっぱいあった。可愛い。しみじみ思ってたら机の上からハート型の箱を持って「座って」って言いながら名前はぽすんとベッドに座った。俺もそれに習ってベッドに腰かける。箱は透明になっていて中には綺麗に型どられたチョコレートがつまっていた。

「これがね、うさぎで、くまで、ペンギンで、ひよこで、にわとりでー」
「ふふ、鳥が多いんだね」
「すきだからいいの!」
「周りは星でいっぱいだ」
「ヒロトでいっぱいな私をイメージしてみたの…どうかな?」

なるほど名前のすきなものばかりだったのはそういう意図で…。「多すぎちゃったかな、無理しないでね」って困ったようにする仕種もとっても可愛らしくていとおしくて、出来心、ってやつだ。自分でもわかりやすいくらいに唇で弧を描いて「さっそく食べていい?」箱からうさぎの形のチョコを取り出して口へ運ぶ。
名前の。
何が起きたかわからないといった顔をする名前にちゅっと触れるだけのキスをして、唇は触れたまま「俺にもちょうだい?」伝えて返事の代わりにうっすら開いた唇の間に舌をねじ込めば少し溶けたチョコ。名前の舌ごと舐めあげて、このまま取り出してもいいけどそうしたらきっと名前は口を閉じてしまう。だからこのまま。
逃げられないように頬を押さえて、溶けて広がったチョコを舐めとるように歯列をなぞる。どちらともなく転がせば耳はとけて丸くなったうさぎも欠けだす。「んっ、」と苦しそうな息が聞こえて、離れ際にもう一度触れるだけの音を鳴らせばふわりと甘い香りがして。

「名前…ごめん…我慢出来そうにないや」

努力はするけど。そう思って口にしたのに返って来たのは意外すぎる答えで。

「やさしく、してね?」

「まかせて」言いながらも優しくなんて出来るだろうかなんて自嘲しながらゆっくり押し倒す。淡いピンクのシートに広がる髪も沈む白い肌もなんていうか、いつもより扇情的で。
これはもう重症だ、思いながら俺は唇を重ねた。







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