Q.いつも一緒の幼馴染みにすきって伝えるにはどうしたらいいですか?
「そんなのキスでもすればいいんじゃないか?」
「リ、リュウくん正気!?インフル?」
「酷いなー、親しき仲にも礼儀ありとは言うけど…名前の場合は相手が、ねえ?」
「私リュウくんに教えてないもん」
「俺に相談してる時点で絞れるって」
「嘘だ嘘だわかるわけない」
「名前の皆の呼び方ー!リュウくん。風くん。ヒロくん。からのー、は・る・や」
ハートがつきそうなリュウくんに慌てて制してああああもう顔が熱い!どうせバレてるんだ潔く協力してもらおう、精一杯の平常心で「なんでそれだけでわかるの…?」訊いてみれば「多分むしろ本人以外皆気づいてるから」って淡々と言われてびっくりした。私そんなにわかりやすい…?
「チョコあげたって気づかないと思うし、キスだろ」
「むりむりむりむりむり」
無理って言ってるのに押しきられて結局14日を迎えて、焼きあがったばっかりのクッキーを背中に持ってキッチンから晴矢の居る居間に行こうってところまで来てしまった。晴矢はおこた大好きだからだいたい居間に居る。リュウくんが園のみんなを居間に近づけないようにするって言ってたから二人きりにいきなりなるって思うと…うう…どうにでもなれ!
居間にはおこたに足を伸ばした晴矢。テレビつけて、漫画散らかして、机の上には大量のみかんの皮。みかん。
「はあああああ!?晴矢なにみかん食べて…!」
「うわっ、びっくりすんな!俺がみかん食っちゃいけねえのかよ」
だめだよ!おなかいっぱいじゃんこれ!って言いたいけど言えない…それこそなんでって話になる。クッキーに気づかれないようにしながらおこたに入り込む。お前もみかん食えばいいじゃんって晴矢が言うから食べるってみかんを取ろうとした、ら。案の定テンパった私はクッキーを持ったままの手で机の上に手を出してしまったわけで。
「なんだ?うまそうじゃん」
「あっ…あげるよ…?」
「まじかよ!んじゃ遠慮なく」
ひょい、と取り上げられてモールはくるくると解かれる。むしゃむしゃとクッキーが粉に戻っていく。
「どう?」
「粉っぺえ」
なにもそんな素直に…へこむ。でも別に私がつくったって言ってないし、むしろお粗末なクッキー食べさせてすいませんと言うか、うん。あれこれ考えてると「もしかしてお前が作った?」ああすいませんごめんなさい「うん…あのまずくて「粉ついてんもんよ」言われたのもつかの間、晴矢の人差し指が近づいてきて私の口端を撫でて、そのまま今度は晴矢に近づいてって、ぺろり、舐めとられる。
「え、あ、晴矢サン?」
「あ?悪かったな不味いみたいに言って……クッキーってもとからそんなんだから、気にすんなよ」
「あっ、うん…ありがと、」
そこからまた晴矢はクッキーを食べはじめてくれて私と言えば恥ずかしくなってみかんばっかり見つめて食べるはめになって。リュウくんごめん。キスなんて無理でした。