「シュウ、ホントによかったの?」

天馬くんたち(特訓は見てたけど試合はシュウが見せてくれなかったから他の人は知らない)が、ゴッドエデンに来て、シュウを誘った。私はシュウが天馬くんを本当に大切な友達だと思っているのを知っていたからシュウが行きたいって言えば、寂しくなるだなんて言わないで頑張って行ってらっしゃいって言うつもりだった。天馬くんたちが強いチームを作りたいと言って来たときから覚悟していた。私はシュウが楽しそうにサッカー出来ればそれ以上の倖せは彼にはないと思うから、決めていた。
だけどシュウは首を縦に振らずに「この森を守る」ここに残った。森のことなら私やカイに任せてくれて大丈夫なのに。今ならまだ、あっちの施設…フィフスセクターの人に頼めば船くらい出してもらえそうなもの、改めて訊いてみても「僕はここに居なきゃならないんだ」シュウは悲しそうに笑う。

「私なら、少しくらい寂しくないよ、大丈夫」
「うーん…そこは寂しいって言って欲しかったかな」

くすくす笑って言って「僕はさ、名前」続けた。

「ここから出て、動けないんだ。肉体がもつのはもう、森の中だけ」

黙って聞くしか出来なくて、そこでやっとあれから白竜くんたちに会いに行かなくなった意味を理解した。そんなこと、シュウを見つめればふっと笑ってこつん、おでこ同士が触れて鼻がぶつかるくらいの距離で「名前、そんな顔しないで」やさしく言葉を紡いだ唇が惹かれるべき場所にそのまま重なる。
唇だけが離れてしまって、頷いたら額も離れてしまうと気持ち縦に振ってはみたけど、どうだろう。それにシュウは「伝わったよ」って言ってくれたからつられて笑った。
そのままぎゅっと抱き締められて、左手は肩をぎゅっと寄せて右手は私の反対側にきつくからめられる。それは私には見えなかったけれど「僕は、キミの手がずっとこうやって離れないでいてくれることだけ願っていたいんだ」その言葉は、視線は、私の左手をとてもいとおしく見つめて言ったんだろうなと思う。
私はどうしようもない倖せをどうやったら返せるのだろう、わからないけれど繋がれた手に力を込めれば、シュウはそれに応えてくれるそれがずっと続けばいいと私は願った。




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