見つめ合ったり抱き合ったりキスをしたり。私はそんなのを恋愛であってまあ好き合うことが前提。それを信じてきたし今でもそうとしか思わない。
そうでもないのに触れてくるコイツが、構い立てるコイツが気に入らなくて仕方がない。


「オイ、んな毎回不機嫌そーなツラしてんじゃねえよ」

「元から元から」

「は?さつきには笑ってんじゃねえか」

「さつきちゃんは友達ですし」


自分でもわかるくらいに嫌だというオーラを醸して答えればもとより鋭い青峰の目がキッとなり、眉間のシワが一層寄る。
そっちじゃないか、不機嫌なのは。ならなんで私に構う。
私のはそこから起きる嫌悪。

相手にしていられないと歩き出そうとした、刹那。「待てよ」無駄に焦げた腕がかっちりと私の腕を掴む。
ありったけ力を込めて腕は引いているけど全く動かなくてイライラする。
ことさらに青峰ときたら微動だにさせられない私の非力に対して笑った。

ああ一々勘に触る、本当に。

腕をぐっと引いたと思えば壁へ私を差し出す。
背中に覚えた痛みと嫌悪に顔を歪める。
その間にも虫酸が走る生暖かさを唇に感じて。

どうせ無駄だと思って突き飛ばせば簡単に退く。「おー怖え」そんなことをぼやきながら、白々しい。


「アンタなんでこんなことすんの」


なんで、いちいち、私を構う。
いたずらにも、嫌がらせにもほどがある。


「分かれよ」


青峰は眉を寄せて言い捨てる。まるど私が悪いかのように。さつきちゃんがそんなに好きかと。友達すら羨むくらいに?バカか。


「何を」


「お前が好きだっつってんだよ」


夢なら覚めてくれ。
私はそう思うのに時間がかからなかった。今、青峰はなんて言った?好き?何を?全くコイツは読めないけれどわかったことは。

好き合うことが夢物語な前提かもしれないこと。








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