俗にそれを携帯依存と人は呼ぶ。
携帯過多というほどに常に携帯電話を携帯する。無いと死ぬ。
むしろ通常マナーモードに常に設定されているそれが振動しないと死ぬ。うっとおしいメルマガも敢えて解除しない。だって振動回数増えるから。あまりにも携帯が自己主張しないときは記事の投稿が完了すると確認メールが届くブログを更新する。
そんなこんなで増えに増えたブログ数は八。
放置はゼロ。
トラックバックはされるほどの記事じゃないから流石に通知なしだけどコメントは通知設定されてる。通知はまあよく届く。たとえ中身がいかがわしい出会い系広告のものであったとしても通知メールさえ届けばいいから広告をいちいち消すくらい苦にはならない。

朝のアラームも無駄にかける。
就寝は平均二時半、アラームは五つ。
三時、四時十分、五時、五時二十三分、六時二十分。
一度のアラームは設定切らない限り五分に一度鳴り直す。起きれないんじゃない、携帯に呼ばれないことと寝ていることが怖いだけ。

さて私を携帯依存重症者とせず誰をそう呼ぼう。



「せやから光、三分おきに私にメールしてや」
「いややうっとい」

「電話でもええから」

「喋っとれば平気なんか」

「ちゃう、ワンギリでええの。ぎょーさん鳴らして欲しいん」

「自分異常やそれ」

「なんでや」

「自分病院行けや。ほんで携帯と隔離されてまえ。充電器壊しといたるわ」


私そんなの死ぬって。しょうがない。もう酸素みたいなものだ。バリ3だって右から窒素酸素二酸化炭素だよ。だったら酸素じゃなくて空気だなんてどうだっていいよ。とりあえず不安なんだ、震えてくれないとそれこそ私がこの場所から、世界から、存在が隔離されてしまったような気がして。たとえばこのまま私が溶けてなくなっても誰も気付かなくて、それで。なんて。あまりにもぐるぐるし始めるとそこからが所謂セルフなのだ。通知が欲しいから中身のない記事を散々と連ねるのだ。


「なして携帯鳴らなあかんねん」

「せやけどぶっちゃけ鳴るのは苦手やねん」

「…さっき鳴らせ言うたん自分やぞ」

「ちゃうん、ほら耳の神経まで使こってたら私ポックリする」

「はぁ」

「振動するん待ってるだけでもめっちゃ敏感やねん」

「、ふーん」

「ちょおっなにすん、」

「誘ったんとちゃうん?」


どうやら私の敏感発言を感度がいいとかそういう意味で汲み取ったらしい。
右手で太ももを撫で付け左手を頭の後ろに回してぐっと近づけ囁く。光の唇が私の耳の熱を上げてく。一番冷たい場所が、私からなくなる。


「どや?」

「、や、耳んとこで喋らんで…」


伝えればそれは甘噛みで返ってくる、触れるようなさっきと違って押し当てて話す。


「…今度電話鳴らしたろか?」

「ならしてくれるん?」

「知っとるやろ、テレフォンセックス。」

「ひか、なに言って…っ、ん」


塞がれた唇に熱がこもる。光はこれが上手いから、
熱くなる。
熱くなる。
どっか、頭が、体が、おかしくなりそうになる。

違う、
苦しいんだと正しく機能した脳が私に告げる。
なぜか力の入らない手のひらで光を叩く。
名残惜しくさせるように最後に一回だけちゅ、と音の鳴るように触れて離れた光はにやりと怪しく笑った。
それまでの羞恥が光を見ると思い出されて、あの単語が浮いて、恥ずかしくてしょうがない。
光が、見れない。


「やらしーやっちゃなー…」

「ちゃう、光が変なこと言うから」

「あー…想像したん?」


せやけど、と続く言葉の中で見えるのが壁とじゃなくて天井と、光。


「今は普通にしたるわ」

「や、そんなんやないの、」

「せんでええの?あー…聞く口間違えたわ、こっちや」

「、ひゃ、んっ」


つぷり、と細くて長い中指がナカに入る。私の知らないうちにそこはそれを許してたようでゆるりと指が動いて、芽を押し撫でられる、とやわりとなぞってあろうことか光は指を抜いた。


「、ひかる?」

「せんでええんやなかった?」

「…や、あ、」

「どっち」

「、続けてや」

「しゃーないやっちゃな」


塞がれた唇、たくしあげられたスカート、下ろされた下着、気づかないほど熱っぽくて、ああこんなにも求めてる、と気づく度に恥ずかしくなる、だけど止めて欲しくない。
離れたくなくて腕を首に回した、はずなのに光はキスを止めて腕から逃れる。不安にかられた私を、羞恥が襲う。さっき指を入れてたその場所に光は舌を埋めた。


「そこ、汚い…から、やぁっ」

「足閉じなや…めっちゃキレイやん」


しかも甘い、と視線を上げてくるから目がかっちりと合ってしまって盛大に逸らせば応えるかのように芽を舐めあげる。

「んっ」

自分でも驚く程に体が跳ねる。
焦らすように触れるか触れないかのところを刺激してくるのがひどく耐え難い。

止んだと思うと指が埋まる。
一本、
二本。三本。


「ふ、」

「自分ぶっちゃけ人間依存とちゃう?」

「、え…っ」

「構われたいんやろ」

「…ん、」

「やったら俺と居ったらええ」


こうしとったら寂しないで、と指が引き抜かれたと思うと質量の違うそれが入る。話してる間にゴムつけてくれたんだ。
理性は、そこまで。


「、ひか、あかん、」

「、自分締めすぎ…」

「や…、も、だめや…っ」

「ちょお待ちや…」


動きが緩まる。
二、三度、緩く出し入れして一気に突かれる。


「、あっ」

「ええで、イきや」

「…ふ、ひ、かるは…っ?」

「俺ももうアカンわ」


ずん、と奥に届けば私じゃないみたいな高い声とナカに感じる光の熱。

引き抜かれたそれからゴムを取って捨てる。目線を合わすとキスが降ってやさしく髪が撫でられる。


「携帯やのうて俺に依存しぃ」

「そんなんもうしとる」

「うせやん。携帯鳴れば誰でもええみたいに言うたやん」

「妬いとるん?」

「ちゃうわボケ」

「寂しい、ってメールしてもええ?」

「うっといから電話しいや」

「光変なことするから嫌」

「まだ言うか淫乱」

「ちゃうもん!」

「期待しよったくせによう言うわ」



依存
(本当は最初から全部光がいい)





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