太陽が負けた。
会場に向かう勇気は結局湧かないままテレビで新雲と雷門の試合を見ていた。痛々しいくらいに頑張った太陽が、楽しそうに走った太陽が、これ以上ないってくらい本気を出した太陽が。負けた。信じられなかった。そうしたら太陽が倒れた。え?太陽?テレビも消さずに外に出た。どうしたらいいのかわからない。
走った。
走った。
病院まで走って、太陽、太陽は?太陽は来てないの?
どうか、どうか、太陽を助けて。

もしかしたら。淡い期待を抱いて、太陽の病室だった場所までかけていく。階段を登って、丁度、冬花さんに会う。部屋のプレートは雨宮のままだった。もしかして。

「起きたら少しだけ話していって。安静だから少しだけね」

微笑む冬花さんに頭を下げて部屋に入りカーテンをくぐる。
規則正しく呼吸をする太陽が寝ている。よかった。太陽、生きててよかった。幸せそうに眠る太陽がいとおしくなって、ここまで心配させた代わりに今だけは許してもらおう、なんてゆっくり顔を近づけて頬に軽くキスをする。顔を離したら、私の流した涙が太陽の顔に落ちていて、まるで太陽が泣いているみたいだった。サッカーが出来て嬉しかったって泣いているみたいだと思った。




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