僕はあれから名前と会うことを拒んだ。フィフスが病院に話はしたようで冬花さんですら止めようとはしなかった。だけど名前は違う。目が言ってた。「サッカーするな」って。前は僕がサッカーをしているのを見るのがすき、そう言ってくれていたのにやっと僕のサッカーが出来ると思ったら名前は心から応援なんてしてくれていなかった。名前なら喜んでくれるって、思ってたのに。サッカー出来ないなら生きてたって意味がないのに、どうしてそれでも、名前は僕に生き地獄に生きることを望むの?どうして…。
明日に退院が迫って、荷造りを始めたときだった。コンコン、ドアが鳴る。
「冬花さん?名前になら会わないよ」
「違うよ。太陽くん…ちょっといいかな」
ドアが開いて部屋に入ってきたのは車椅子に乗った、同じ階の剣城さんだった。
「剣城さん…?」
「明後日の試合、調子はどう?」
「バッチリです!弟が確か、雷門に…俺負けませんよ」
「ああ、お互い頑張ってくれよ。ところで、あの子…君の彼女は試合には呼んだのか?」
「…名前は、来ない、どうせ」
「どうして?」
「僕に、本気でサッカーするなって思ってるから」
「それは違う!彼女の本当の気持ち、聞いてあげた方がいいと思うな。太陽くんのためにも」
「……」
「ごめんな急に。それじゃあ応援してるよ」
剣城さんが出ていった後、めずらしくナースコールを使ったらすぐに焦った顔の冬花さんが飛んできて、僕を見るなりため息をついた。
「名前が来たら、会わせて欲しいんだ」
だけどその後名前が病院にくることはなくて、結局そのまま退院することになった。
試合は、明日。