先生がくれた奇跡にまだちょっと慣れません。

「名前ちゃん!ボール磨くの手伝ってもらっていいかな?」
「は、はいっ」
「あはは、いいんだよ私だって一年なんだから敬語なんて」
「は…じゃなくて、うん、ごめんね空…葵ちゃん」

マネージャーさんの空野さん、には葵でいいよなんて言われたけどなんだか勿体ないような気がして、少しずつ呼ばせてもらうことにした。いつか、マネージャー仲間じゃなくて…友達になりたいって言うなら葵ちゃん…がいいなって思うのは図々しいのかな。水鳥先輩はちょっとこわいけど、こんなお姉ちゃんが欲しいなって思ったりして、茜先輩はほわほわ可愛らしくて、キャプテンの神童先輩がだいすきなんだそう。すぐに教えてくれた。いいなあ、そういうの、友達が出来て…いつか私も恋とかしてみたい。
サッカー部のマネージャーさんたちはびっくりするほど優しくて、夢みたい。これだけでも夢みたいなのに。

「葵にいじめられてない?」
「…」
「えっと…苗字?」
「私!?」
「天馬ったら急に話しかけるからびっくりしてるじゃない!あと私はいじめたりなんかしませんー」
「へへ、よかった!音無先生の後ろに隠れてきたからさ、大人しい子なのかな、緊張してるのかなって」
「心配かけてごめんなさい…えと、松風くん」
「もう覚えてくれたんだ!」
「あっほら天馬、信助が呼んでるよ」

えっ信助が?松風くんは言って、西園くんのところまでかけていった。松風くんも一年生で、とっても気さくで葵ちゃんとも仲がいいみたい。もしかしたら、松風くんとも仲良くなれる日がくるのかな、女の子の友達も男の子の友達も出来たら楽しそう、なんて考えながら磨いたボールは、初めてだったけどぴかぴか光っていて私に「がんばれ」って言ってくれてる気がして。

「葵ちゃん、そろそろ」
「はい!あ、名前ちゃんは」
「私と一緒に神サマたちのとこ、行こう?」

先輩方が飲み物の入ったボトルをかたかた揺らして持ってきた。先輩方に渡すの緊張するなあって思ってたら茜先輩が「一年生だけでいいよ。松風くんと剣城くん」先に言ってくれてすこしほっとした。

「あの、松風くん」
「ありがと!あ、こっちは剣城のだ」
「どうも」

剣城くんは少し怖かったけど、そうでもないのかな?松風くんが渡してくれて助かったけど、ちょっとだけ話してみたかったかもしれないなんて。



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