最初に会ったのは現在の軸で言うところの未来で。
楽しそうにサッカーをする子たちを眺めていたら「ねえ、あなたもいっしょにサッカーしよう?」微笑みながらぼくに声をかけてきたのが彼女、苗字名前だった。それからぼくらは自然と毎日のように会うようになって、自然と同じチームに入って、丁度たしか一年前だった。
ぼくはコーチや監督、知らない強面の大人たちが過去に行ってサッカーを抹消する、そのためにぼくらを育てていると話しているのを聞いた。聞いてしまった。だからといって別段深く考えはしなかった。だってぼくは、チームのみんなと、名前とサッカーが出来ればそれでいい。過去なんてどうでもいい。

けれど彼女の考えは違った。とうとう聞かされることはなかった。スタメン落ちした彼女には過去がどうだのなんて一言も告げられなかった。彼女は言う「よかったね、フェイ」精一杯の笑顔で。よかった?スタメンどころかベンチに名前が居ないのに?違う、そんなの、楽しくなんか。

「名前と一緒にサッカー出来なきゃ意味ないよ」
「このチーム、メンバー入れ替えないんでしょ…?」

言われてハッとした。どうして入れ替えがない?そんなの過去からサッカーが消えたらぼくらもサッカー出来ないからだ。すぐにことが足りるからだ。
ぼくはそのまま考えた。寂しそうにうつむく名前もそのままに、ぼくがサッカー出来る方法を。名前がサッカー出来る方法を。ぼくらが一緒にサッカー出来る、道を。
ぼくは気付いたら笑っていた。笑ったまま「また一緒にサッカーしよう」つぶやいて、名前の前から離れてそれからぼくはチームに戻ることはなかった。

ぼくは天馬のところに向かって、アルファたちが接触をはかっていて、そこにはやっぱり名前が居た。僕の抜けた席に入ったのは名前だった。ぼくは名前とサッカー出来て嬉しいよ。ねえ、名前は?




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -