ずっと私は憧れていた。
白銀に映える薄青に。パウダースノーを思わせるマフラーをたなびかせてグラウンドを制する姿に。ずっと、ずっと憧れて、私もサッカーを始めたくらいだった。
君が輝くサッカーを知りたい。君の大好きなサッカーを知りたい。君と一緒にプレーがしたい。

「その調子」「うまくなったね」優しい言葉を貰う度、サッカーが好きになった。楽しくなった。ずっと憧れた君に少しだけ近づけた気がして。
私はゲームに参加させてもらえるようになった。パスミスや、空振り、たくさん失敗したけどいつもチームメイトの皆は励ましてくれる。暖かい気持ち、でもどこかぽかりと穴が埋まらない。

吹雪くん、ゲーム中には話しかけてくれないんだ。

それをフィールドで私は知った。ぴゅうと乾いた風は吹く、私は切なさを流すことも出来ない。
君が輝くサッカーを知った。君の大好きなサッカーを知った。君と一緒にプレーをした。
私はサッカーがつらくなった。

練習を休みがちになった私にきまって吹雪くんは「練習おいでよ」なんて言う。体調が悪いと言う私を吹雪くんはいとも簡単にやさしく扱ってくる。「大丈夫?早く君とサッカー、したいな」優しい言葉を貰う度、乾いた笑顔が得意になってサッカーが嫌いになりそうになった。
近づき過ぎたキラキラに、私の憧れはいとも簡単に溶かされていたんだと思った。触れることが出来てしまったらこんなにも、君をすきになってしまった。

たくさん泣いて、揺らがないサヨナラの紙に綴った私の名前を見て、チームメイトは寂しがっていた。吹雪くんは眉を下げて「いつでも、見に来てね」そう言って私の前でまた輝き出した。




再録


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -