コンタクトと愛の祝福

「探し物はなんですかー?」
「見つけにくいものですかー?」
「おい、」
「カバンの中も」
「つくえの中も」
「「探したけれど見つからないのに」」
「おいなのだよ!」
その一声に、私と和くんは歌うをのをやめて緑マッチな彼を見た。
「「なに?真ちゃん」」
「朝っぱらからうるさ「ぶっは、千夏とハモった!」
「少し静かにす「わたしの方が先じゃん、和くんはアイス奢ってね」
「いやいや、俺だろ」
「私だ」
「お前ら俺の話を聞け!!」
「俺の」
「俺の」
「「俺の話を聞けー!二分だけでいいー」」
「だーかーらー、朝っぱらから歌うなと言ってるのだよ!近所迷惑なのだよ!」
「「えー!!」」
というか、歌ってるのよりこうやってえー!って言った方がうるさいんだけどな、とか思いつつ、和くんと顔を見合わせた。
「というかさ、真ちゃん」
「真ちゃんって呼ぶな」
「真ちゃんさ、メガネどった?」
「ね、ほらさ、いつもメガネをカチャッってやって、ね?」
「そうそう、『俺のシュートは落ちん』って、ね?」
「ぷっ、めっちゃ似てる!!!」
「だろだろ!」
「〜〜〜っ!少し静かにするのだよっ!今日のおは朝のラッキーアイテムがコンタクトレンズだったから眼鏡は置いてきたのだよ」
そう言ってドヤ顔で目と目の間に手を持ってって、空振った。
「「ブフォwwwww」」
二人して腹がよじれるほど笑いこけていると(和くんとしゃがみこんじゃったじゃん、ばか)、顔を真っ赤にして真ちゃんがこちらを振り返った。
「笑うな!!」
「いやー、」
「「エース様に万歳っ!」」
もはや毎日の恒例になっている登校風景に、秀徳高校の朝練参加組の面々は微笑ましい気持ちになりながら三人を抜かして行く。和くんがイヤホンを耳に挿して歩く宮地先輩を見つける。私と顔を見合わせて、こくりと頷いた。
「んんっ、それでは行きます!」
「どうぞ行ってください!」
どうぞっ!という和くんの掛け声とともに宮地先輩にタックルして、その勢いでイヤホンを外した。うぉ、と宮地先輩はよろめき、振り返って私を見る。どうやら怒るに怒れず、少し笑いながらぽんぽんと頭を撫でてくれた。天使か、お前が天使か宮地清志。
「宮地さん、はよっす!」
「あぁ、はよ。お前ら、今日も平和だな」
お前のタックルもそろそろ慣れたよ、苦笑しながらカバンから何かゴソゴソと取り出した宮地先輩は、コロンと私の手に置いた。
「ぷっちょ?あ、今コラボキャンペーンやってる…」
「なんかみゆみゆだけ当たんねーんだよな」
すぐさま包装紙をペリペリはがして口に放り込む。ソフトキャンディーとグミとラムネが口の中で……何するんだろう。とりあえず美味しいよね。うん。そしてふと思い出す。
「先輩ー」
「ん?なんだ?」
ゴソゴソとお菓子の入った巾着を出すと、すかさず和くんが中からふ菓子を取り出して食べ始めた。だからお前の好物は渋いんだって、馬鹿野郎。巾着の底をゴソゴソ漁ること30秒。未開封になっている小さなグリコのおまけより小さい箱を取り出した私は、それを宮地先輩に渡した。
ぷっちょのコラボグッズだ。
「それ多分みゆみゆですよ」
「うぉ、まじか!何で分かんの!?」
「……勘?」
うぉあーーと意味わかんない言葉を発しながら箱を開けるとあら不思議、なんとみゆみゆが入っていました。よほど嬉しかったのだろう、キラッキラした笑顔で宮地先輩はこちらを見た。これだから宮地は…。
「お前は神か!!」
なんか楽しくなっちゃったから、悪ノリをしようそうしよう。
「そうだ、私は神だ」
「ブッフォwwww」
「暇を持て余した」
「神々の」
「「「遊び」」」
あれ、バスケ部って上下関係厳しいんだっけ?なんかこんな上下関係隔たりなくコントやってるんだけど大丈夫かな、なんて思ってなんとなーく後ろを見ると、真太郎が呆れたような目でこちらを見ていた。
「ぼちのせ」
「だれがぼちのせなのだよ」
「誰がなんだろうね、それより」
「なんだ」
「コンタクトもいいけどさ、私は眼鏡の方が好きだな」
そう言うと真太郎は少し目を見開いてふっ、と笑った。うん、今日も安定のイケメン具合、ありがとうございます。
「そうか、今日のおは朝のラッキーアイテムがコンタクトレンズだから仕方がないのだよ」
「でもね、私コンタクトも好きだよ」
「なぜだ?」
「それはね、」
ちら、と周りを見て、真太郎を引っ張る。
「どこに行くのだよ」
「朝練まで時間あるでしょ?」
ふふ、と笑えば真太郎は少し呆れた顔をして、やっぱりお前には敵わないのだよ、と言ってついてきた。
体育館裏についた私は、真太郎と向き合った。
「私ね、真太郎のコンタクトも好きだよ」
「それはさっき聞いたのだよ」
「だってさ、ね?」
「なんだ」
ふふ、と私は笑って両手を真太郎の肩に置いた。真太郎はどうやら私の言いたいことが分かったらしい、すぐさま両腕を私の腰に回した。もう、このムッツリスケベめ。
「だっていつも邪魔じゃん」
「メガネがか?」
「そう」
そう言って、私は真太郎にキスをした。
「コンタクトは邪魔じゃないよね」
「千夏」
「ん?」
「俺に何か言うことはないのか?」
「ふふ、そうね」
私はもう一回素早く真太郎の唇を掠めて、笑った。
「お誕生日おめでとう、真太郎」
「ありがとう」

H@ppy B!rthd@y !
緑間真太郎!


「今すぐ抱ーきしめてーキスからー始めよーう」
「なんだそれは」
「凛とーした姿にーとーきめーいてー」
「kissから始めよう、か」
「私達もこんな感じじゃん、出会いは」
「そうだな」
「真太郎はムッツリスケベ」
「何を言っているのだよ、朝練に行くぞ」
「ラジャーよ、エース様」

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びば!ムッツリスケベな緑間くん。
そして古い歌のオンパレードですね。でも有名だからわかるよね?ね?( ' ω ' )
こんなにふざけた文章ですいません(土下寝)いやー、書いてて楽しかったです(きっぱり)
真ちゃん誕生日おめでとう!!!
笹の葉さらさらだよ!
kissから始めよう 聞いてね!可愛い曲だから!!