喜んでもらいたくて

誠凛高校は月一で土曜日が休みになる日がある。その休みが今日だった。バスケ部はどうやら練習があるらしく、今日も朝早くから部活に行ったらしい。と彼の母から聞いた。
「とんだバスケバカだこと」
千夏はため息をついて制服に着替えた。
閉鎖されている正門を迂回して裏門からはいると、すぐに体育館へ辿り着いた。
バッシュのスキール音、ボールをつく音、掛け声…挙げたらキリが無いが、そういう音が千夏は好きだった。
「お邪魔するねー」
そう一声掛けて体育館へ入ると、あちらこちらから声が掛かる。
「え、千夏来たの!?」
「え、リコ、私をなんだと思ってるの?」
「まぁまぁ、カントク落ち着けって、何かしら理由があって坂本がきたんだろ」
「うんうん、ご名答よ伊月。当てて御覧なさい」
「そうだなぁ…あ、そうか」
「そうそう、という事でほれ、差し入れ」
小花柄の保冷機能付きのお弁当袋を差し出す。
「坂本先輩、何が入ってるんですか?」
「おや、黒子くんは今日も可愛らしいね。レモンの蜂蜜漬けよ」
そう言うと、わらわらと部員たちが寄ってきた。練習は一旦休みになったらしい。
適度に冷やしたボトルを持って、未だシュート練をしている彼に近づき、背中にボトルを充てた。ビクリ、と大きく肩が跳ねて、シュートは外れた。
「じゅんぺーくん」
「おわっ、千夏かよ」
「なによぅ、その雑な扱いは」
「わりぃ、んで、なに?」
「や、休憩しましょ?って。レモンの蜂蜜漬け作ってきたんだから、食べてよね」
「おう、所でお前今日なんでいるんだ?」
「…………へぇ?」
やり取りを見ていた他の部員達の顔色が幾分か悪くなった気がした。それを横目で見ながら、千夏はにっこりと笑った。
「どうせ順平は今日も夜遅くまで練習してクタクタになって家に帰ってご飯食べてお風呂入ってそのまま疲れ果てて寝ちゃうんだろうね。ねー?」
「あぁ、そうだな…」
「バスケと戦国大名のことばっか考えて朝メールも見ないで今日が何の日なのかも忘れちゃってー!ねー?ひゅーがじゅんぺーくん?」
「………今日…?あ…」
「そうだよあんたの誕生日だよバカヤロー!」
「おあっつ!いってぇ!」
そう言って千夏はそこら辺に転がっていたバスケットボールを力任せに投げつけた。
「俺が悪かった!明日埋め合わせすっから!」
「…あんたの誕生日じゃん、なんか勘違いしてない?ほい、プレゼント」
おずおずと綺麗に包装された包みを受け取った日向は、その場で開いた。
「おおおお!!フィギュア!俺が折った伊達政宗の!」
「感謝しなさい、それと、お誕生日おめでと」
にこり、とわらった千夏の頭を、日向はくしゃりと撫でた。

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終わりましたけど何かダァホ。(短くてごめんなさい)
大!遅!刻!(遅れてごめんなさい)
日向先輩お誕生日おめでとー!!
愛してるよー!cv.細谷が素晴らしいよーぽそやんかっこいいよー!
4ファウルで引っ込んだ誠凛キャプテンに(愛の)ビンタしたい。