走ることについて

「緑間って、走れるんだ…」
「ぶっは、坂本の中の真ちゃんのイメージ!」
「いやだって走ってるところ見てないし、いつもチャリアか歩きじゃん、」
「おい彼女!彼氏走れっぞ!」
始めて彼氏の部活を見学しに来た千夏が、ちょうどシャトランをしていた緑間が走れることに対して驚きを示していたことについて、高尾は堪えきれない笑いをこぼしていたが、ギロリ、と緑間に睨まれて、高尾はわりーわりーなんて謝りながら基礎練へ帰っていった。
(緑間って、走れたんだなぁ)
千夏は、しみじみと思った。
どちらかというと悠々と歩いていたり、座っていたりと、わたわたしている緑間ま見たことがなかった、いやあったけども。あーんな時やこーんな時に。

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「………どういう意味なのだよ、それは」
「いや、なんていうか、イメージ湧かなくて」
自主練が終わるまで待っていようとしていたのだが、練習が終わった瞬間、すっぱりと練習を止めて、帰るぞ千夏なんて言われた時には目を瞬かせたが、女性の夜道は危ないから送ってくのだよとかなんとか言われて、少しにやけてしまった。
要するに、私と一緒に帰りたい?
そんな事を聞くと、顔を真っ赤にしながら、別にお前のためじゃないのだよ!
なんて言いながらガチャガチャと眼鏡のフレームをひたすらあげてた。このツンデレさんめ。
「でもさ、本当緑間の走るイメージがないのよ…中学の時だって、3Pでスリ捕まえたんでしょう?」
「何故それを知っている」
「桐皇のマネージャーさんから聞いたの。すごいね!自慢できるよ!」
ふふと笑ってあげると、苦いため息がこぼされた。
「お前の中の俺のイメージはなんなのだよ」
「…おは朝とツンデレと3Pとムッツリ」
「なんなのだよ!俺は決してムッツリなどではないのだよ!」
「…毎回私が酸欠になるまでしてるのは誰かな?」
「………」
「でも、本当。かっこよかったよ」
「何がなのだよ」
「走っているところ」
「…そうか」