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「確か、自販機、だよね?」
あのあと慌ててリコと桃井の目から逃れた菜穂は黒子がいるであろう自販機へ足を向かわせた。
「あ、あった!ってか居た!」
ベンチで寝ている黒子を見て、自然と足取りは早くなる。
早くテツヤに会いたい。その一心でベンチへ近づくのだが、そうやってそのベンチへ近づくたびに、頭が何かを告げる。
すっ、と横を通った誰かがスクイズボトルを黒子の横に置いた。
その音に目を覚ました黒子は、タオルを少し持ち上げて礼を言った。
「ありがとうございま……っ!」
「大輝…?」
「ん?お、テツ達だけかと思ったら、菜穂もいるじゃねーか」
ニヤリ、と青峰は笑って菜穂の頭をくしゃと撫でた。

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