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インターバルが終わり、選手がコートに入る時、菜穂は火神を呼び止めた。
「火神」
「……なんだよ、奥宮」
「影を」
「影?黒子、か?」
うん、と頷く菜穂の手に、何か握られているのを、火神は見た。
「影を…信じろ」
そう言って渡されたのは、先ほどまで彼女が持っていたらしい、虹色の、リストバンド。何かを思い返すように、しばらく黙った後に、菜穂はバン!と火神の背中を叩いた。
「だが、信用はするな」
「……おう」
火神を見送った菜穂は、ベンチに戻った。
「あれは、虹村先輩のリストバンド、ですか?」
隣へ移動してきた黒子にそう問われ、菜穂は曖昧に笑った。
「うん、まぁ、お守り……大切な、ね」

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