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二日連続ファルトレクに出掛けられてやる事もなく暇な菜穂。楽しい親子の会話に入るのもなんだか気まずくて、悠一と半面を使って軽くバスケをしている。
「兄様、腕あげましたね」
「経験値の差だろ。そーいや、この前高校訪ねたら赤司が居たよ。ついでに変なおねぇとマッチョとなんかすごい煩いやつもいた。」
「へーえ」
「お前、たしか解消したって」
「しつこかったでしょう?この前会いに行ったの」
「アドレスがどうとか言っていたが…」
「うん、教えてない」
「誰に似たんだか」
「きっと母様よ」
「あー…だな」
兄妹の話題は尽きず、いつの間にファルトレクから帰ってきた部員達が、二人の延々としたパス、シュート練に見入ってた。
お互いにパスをしてその場から相手側のゴールにシュートをする。
いつもやっているメニューだが、どうやらすごいらしい。なんせ、緑間のオールレンジシュートのハーフコート版なのだから。
「お、みんな帰ってきたぞ。菜穂、そろそろ止めるぞ」
「はーい、あ。リコ先輩」
「ん、あ、なに?」
「……バ火神くん」
「あぁ、アメリカよ。ロサンゼルス」
これしか言っていないのに正確な答えが帰ってくるリコを見て、一抹の尊敬の念さえ抱いてしまった。が、
「「へーえ」」
謎のハモりをみせる奥宮兄妹にリコは苦笑いする。
「興味なさそうね」
「いえ、知り合いがいるなぁ、と。」
遠い目をする菜穂をみて、悠一は笑う。
「ところで悠一さん」
「なんだい日向くん」
「あの、悠一さんはどこ出身なんですか」
これまた急な。悠一は笑いながらバシバシ日向の背中を叩く。
「中学は帝光で、高校は洛山だった。どっちでもバスケ部やってたよ。あ、ちなみに大学でもバスケやってるよ」
驚きで言葉も出ない。とはこう言う事なのだろうか。
「金持ちでカッコ良くてバスケ上手くて何でもできて頭も良くて性格もいいとかなにそれ羨ましすぎるだろ」
「先輩息継ぎできますか」
「できません」
「先輩泣いてますか」
「泣きそうだ」

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