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「それでね…って、征?」
はふはふと熱い豆腐と格闘をしていた赤司が、ふと動きを止め、少し目を見開いた。
それに気付いた菜穂は声を掛けるが、なんでもないよ、と返された。

根拠は、ない。
だが、彼らはふと直感した。
その全員が、10年に一度と言われる天才、キセキの世代。
彼らと同格の選手は存在せず、もし現れたとしても、それはずっと先。
のばすだった。
彼らが聞いたのは扉の音。
その圧倒的天才達しか入れない部屋の扉がこじ開けられた音。

「キセキならざるキセキの現れ、か?」
「ん?なに?」
さっきからレンゲに豆腐を載せたまま、キョトンと赤司を見る菜穂を見て、赤司はふっと顔を和らげた。
「いや、なんでもないよ。食べ終わったら清水にでも行こうか。みんなへの土産も買うんだろ?」
「ん!さっすがー!分かってるね!」

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