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「ど、どうした鳴海…」
試合を始める前に、"ある問題"が起きた。
「キャプテン…なんすか、あれ…」
項垂れてブツブツと不平を言うのは本日の対戦相手校、丞成高校のエース、鳴海である。
「はぁ?」
「女……相手のカントク、女って言ったのに…もっと、こう、ボイン、つーか、テンション上がんねーつーか…色気ゼロじゃーぁ!俺のトキメキ返せぇーっ!
指さされたリコは最初、キョトンとしていたが、やがて言葉を理解したらしく、にーっこりと笑うと、
ぶち、ころ、せっ!
語尾にハートマークがつく勢いで、

大変怒っていらっしゃった。

『かしこまりましたぁっ!』
コートで恐怖に震えるスタメンを見て、リコは心の中でため息をついた。
(ってか、悪かったわね!!菜穂ちゃんみたいに大きくなくて!!)
リコはリコで、小さいのが少し恨めしかった。

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